霞が関が永田町を完全支配下に置いた!戦争に備えるための特定秘密保護法。その情報を独占する官僚は、戦前エリートが犯した失敗を学んでいるのか?

佐藤優直伝「インテリジェンスの教室」vol026 「くにまるジャパン」発言録より
本コーナーは、佐藤優さんが毎月第1金曜日と第3金曜日に出演している文化放送「くにまるジャパン」での発言を紹介します。今回は12月6日放送分をお届けします。なお、ラジオでの発言を文字にするにあたり、読みやすいように修正を加えている部分もあります。野村邦丸(のむら・くにまる)氏は番組パーソナリティ、伊藤佳子(いとう・よしこ)氏は金曜日担当のパートナーです。

邦丸: 今日は、このニュースを取り上げます。

伊藤: 共同通信から。「特定秘密保護法案、今日にも成立へ」。

機密を洩らした公務員などへの罰則の強化を盛り込んだ特定秘密保護法案について、与党は今日の参議院本会議で可決・成立させる方針です。この法案は昨日午後、参議院の国家安全保障特別委員会で自民・公明両党の賛成多数により可決されました。……(略)……この法案が成立すると、官僚が情報を隠したり、国民の知る権利が侵害されたりするのではないかと心配されるなか、与野党の攻防は緊迫の度を増しています。

……(略)……

佐藤: 実質的には戦前の緊急勅令とか緊急命令みたいな感じで、十分な審議を尽くさないでやるというのは、やはり内容に何か変なものがあるからなんですよ。焦っていますよ。与党はあれだけの安定多数を持っているんですから、正々堂々と正面から時間をかけて審議をしても何も困らない。ここで見なければいけないのは、何をこんなに焦っているのかなということだと思うんですよね。

邦丸: はい、そうですね。

佐藤: 私は今の野党の雰囲気からしても、これは結局、強行採決で通ってしまうと思う。昨日でなくても、3日延ばしても、セレモニーは一緒。ただ、ここで重要なのは、法律は究極的には国民のものなんですよね。ですから、不磨の大典ではない。絶対に変えられないというものではないから、次の国会で変えてもらうか、次の国会で無理だったら、いつまでもこの政権が続くとはどこにも書いていないわけですから、新たにもう一回選挙をした後に見直すとか、そういうことを国民がきちんと考えなければいけないと思うんですよね。

今回の法律の最大の問題は、情報が完全に官僚独占になってしまうことなんですよ。繰り返して言いますと、特定秘密という秘密、たとえばどういうことが特定秘密に当たるか。
北朝鮮がミサイルを撃ってくるかどうか。今、アメリカの人工衛星の性能はものすごくいいわけです。帽子さえ被っていなければ、その人がハゲているかハゲていないかも人工衛星で見えちゃうわけですよ。人がこういう動きをしているからミサイルを撃ってくるよという情報がアメリカから当然、入ってくるわけですね。これは軍事機密だから洩れたら困る。それを扱う人は、適正評価を受けていなければいけない。

ところが、適正評価から総理大臣も外務大臣も防衛大臣も漏れているわけですよ。となると、外国から情報をもらうときに約束があるわけで、CIAからもらうときは「適正評価を受けていない人には見せないでくださいね」と言われる。だから、総理大臣にも外務大臣にも防衛大臣にも見せることができないんですよ。そうするとどうなるかというと、「ミサイルを撃ってきますよ」と大臣に報告したときに、「ではその判断の証拠を見せてくれ」と言われても、「特定秘密保護法によってお見せできないんですよ」ということになる。つまり、教えたとおりにやれ、ということになるわけです。

……(略)……

邦丸: 霞が関が永田町を完全支配下に置いたと言っても過言ではない。

……(略)……

邦丸: 日本版NSC/国家安全保障会議が発足しましたよね。その下に国家安全保障局が置かれ、佐藤さんの元上司でもある谷内正太郎さん(内閣参与・元外務次官)が事務方のトップになるという話が出ている。

佐藤: 彼がトップになるんだったら大丈夫なんですよ。官僚がおかしなことをするということに関して、彼は官僚出身ですけれど、政治の重要性をわかっているから、総理大臣や外務大臣や防衛大臣をだますようなことをする人じゃないです。……(略)……でも、そういう優れた人がいるから大丈夫だという組織ではダメなんですよ。優れていない人がトップに来ても大丈夫な組織にしておかないと。ただ、今のこの状況だったら、谷内さん以外がトップになったら何が起きるかわからないですよ。