「講座: ビジネスに役立つ世界経済」
【第28回】 「レジーム転換」したドル円レート

〔PHOTO〕gettyimages

ドル円レートでは購買力平価が円安のピーク

前回、一般的な為替分析のツールでは、今回の円安ドル高の動きは説明しにくい点を指摘した。そこで、現在、私が持っている「仮説」について言及したい。それは、ドル円レートが「レジーム転換」したのではないかということである。

筆者は、かつて「修正ソロスチャート」などを考案し、為替レート変動の説明を試みてきたが、前回言及したように、現在の円安ドル高は単純な「修正ソロスチャート」で説明することは困難である。結局のところ、為替レート変動を説明する際に最も信頼がおける考え方は「購買力平価」ではないかと思っている(ただし、短期的な変動を説明することはできないので、FX取引などに利用可能かといわれると微妙なのだが・・・)。

特に主要国の対ドルレートの変動を「購買力平価」との関係でみると、ある一定の「法則」に従って動いていることがわかる。それは、実際の対ドルレートは、購買力平価と大体±20%の範囲内で循環的に動いているという「法則」である。つまり、対ドルレートが購買力平価から20%程度高い水準まで到達すれば、それが通貨高のピークであり、逆に20%程程度安い水準まで到達すれば、それは通貨安のピークになる。

ただし、ドル円レートの場合はやや異なる。1985年9月のプラザ合意以降のドルレートは、購買力平価と購買力平価から約20%円高の水準にはさまれた、通常の「法則(繰り返しになるが、購買力平価から±20%離れた水準)」よりも狭いレンジで変動してきた。通常の「法則」と異なるのは、円安のピークが購買力平価(しつこいようだが、通常の「法則」では、購買力平価から20%円安の水準)であるという点である。

つまり、1985年9月以降、現在まで続くドル円レート変動の「法則」は、「ドル円レートが購買力平価の水準に到達すれば、円安はピークであり、そろそろ円高への反転のタイミングを探るべきである」というものであった。

現在(2013年10月時点)の購買力平価は、1ドル=97円73銭である(国際通貨研究所による計算)。現在、ドル円レートは1ドル=103円前後で推移しているので、「法則」では、そろそろ円高へ反転してもよいタイミングということになる。

もっとも、ドル円レートが購買力平価に到達したらすぐに円高反転する訳ではなく、購買力平価を上回る円安が短期的に続くことがある。過去、円安方向で購買力平価との乖離率が最も拡大したのは、2007年6月の7.48%であった(この時のドル円レートは1ドル=122円64銭、購買力平価は114円11銭であった)。

そこで、現在の購買力平価から7.48%の円安水準を計算すると、105円04銭となる。よって、過去の購買力平価と実際のドル円レートの乖離率でみた「経験則」を用いれば、ドル円レートでみた円安の目途は、1ドル=105円程度となる。

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