金融・投資・マーケット
マンション修繕積立金の98%は実質破綻している!「談合」の常態化で、食い物にされる大規模修繕工事

市役所や県庁の公共工事で「談合」が行われれば犯罪行為として断罪されるが、マンションの管理組合が発注する大規模修繕工事ではどうやら、それが常態化しているらしい。マンション修繕や管理のコンサルティング会社シーアイピーの須藤桂一社長は、そんな業界の実態を明かす。

分譲マンションに住む人ならご存知の通り、住民は管理費のほかに修繕積立金を毎月支払うのが一般的だ。十数年に一度の頻度で行う大規模修繕のために積み立てているわけだが、談合によって修繕価格が高くなれば、先々の資金が足らなくなり、さらに高い積立金の負担が必要になる。つまり、工事業者らの談合によって入居者が損害を負うことになるのだ。

「これを見て下さい」と須藤社長が一枚の紙を広げた。そこにはあるマンションの修繕工事で、管理組合が工事会社5社から見積もりを取った結果が記載されていた。

<1億4900万円、1億5200万円、1億5200万円、1億5600万円、1億6300万円>

素人目には問題ない入札結果の数字のようにも見える。だが、須藤社長は「これでは談合してますと白状しているようなものだ」と苦笑する。談合をせずに、きちんと積算したら、こんな似た数字には絶対にならないというのだ。

別の管理組合が行った規模の違う別の工事で、談合ができない仕組みで入札をしたところ、最低価格の2億4000万円から最高価格は4億4000万円まで大きく幅が開いた。さらに別の工事では5億5000万円から12億円までバラつきがあったという。談合なしで入札すれば、これぐらいの価格差が生じるのが普通だというのだ。

誰が主導し、利益を得ているか。3つの談合パターン

もちろん、談合によって誰かが本来以上の利益を得ようとしているわけだが、須藤社長によると、いくつかのパターンがある。①管理会社主導型②コンサルタント(設計者)主導型③発注者(理事長)主導型──で行われることが多いという。

①の管理会社とは、日々のマンションの管理などを行っている会社である。マンションを建設したデベロッパーの子会社というケースが少なくない。どのタイミングで修繕を行うかという長期修繕計画の策定などにも関わり、当初の管理費や修繕積立金の決定などにも関与しているケースが大半だ。

当然のことながら、修繕費用としていくら出す予算になっているか、管理組合のフトコロ事情も熟知している。その管理会社が親密な工事会社に受注させるために便宜を図るというのがよくあるケースだという。

②のコンサル主導型は、管理組合が適切な工事業者を選んだり、必要な工事の内容をチェックする役割として選定したコンサルタントが、談合に関与するケース。管理組合から報酬をもらう一方で、受注業者からも一定のバックマージンを得るのだという。

管理組合からみれば背任行為だが、多くのコンサル会社が業者からのバックマージンを当てにしているそうだ。管理組合はコンサル選びの際にも競争入札するケースが多いが、低い価格で受注した場合、それだけでは収益が確保できないからだという。

コンサル会社は工事業者を「公募」する場合が多いが、意中の工事会社に突破させるのは簡単だという。公募の際に、資本金の規模や分譲マンション改修工事での実績数字などを条件にし、意中の工事会社がクリアできる条件を設定すれば良いのだ。

「正直言って、昔は私も談合の片棒を担がされたこともありました」と明かす須藤社長。「今でもマンション管理組合の大規模修繕工事で、世の中の設計事務所やコンサルタント会社の大半は、確実に談合している」と言う。

もう1つの③は、管理組合の理事長などが知人の建設会社などに受注させようとするケース。理事長がバックマージンを得ているような例もあるという。

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら