矢島里佳 和える社長
「21世紀の子どもたちに、日本の伝統を繋げたい」

株式会社和える
代表取締役・矢島里佳さん
1988年東京都生まれ。専修大学松戸中学高等学校卒業後、慶應義塾大学法学部政治学科に進み、2013年に慶應義塾大学政策・メディア研究科 社会イノベータコース修士課程を修了。2009年から約3年間、伝統を次世代に繋ぐ全国の若手職人をフィーチャーした雑誌連載を執筆。在学中の2011年3月、株式会社和える(aeru)を設立、代表取締役就任。2007年、テレビ東京「TVチャンピオン2 なでしこ礼儀作法王選手権」優勝。2009年、徳島活性化コンテスト 奨励賞受賞。2009年、キャンパスベンチャーグランプリ 東京産業人クラブ賞受賞(日刊工業新聞社)。2010年、学生起業家選手権 優勝(東京都・東京都中小企業振興公社)。2011年、第4回鯖江地域活性化プランコンテスト 優勝、オーディエンス賞のダブル受賞。青森県弘前市のクラフトコーディネーターや、京都市の京ものユースコンペティションの審査員を務める。このほど世界経済フォーラム(ダボス会議)のグローバル・シェイパーに選出。ツイッター https://twitter.com/Rika_Yajima

これから楽しみな素敵な女性起業家の方に経営コンサルタント・多摩大学客員教授の本荘が話をうかがう本連載の第十回は、日本の伝統工芸職人の技を生かした0-6歳向け商品を提供する株式会社和えるの矢島里佳社長の登場です。

和えるは、ベビー・キッズ向けに新たにデザインした商品を、各地の伝統産業の職人の技でつくり、「0-6歳の伝統ブランドaeru」を展開している。砥部焼や大谷焼、山中漆器のこぼしにくい器、小石原焼のこぼしにくいコップ、漆塗りのはじめてのお箸、湧き水で漉いた和紙のボール、本藍染の産着やタオル、草木染のブランケットなどの商品は、オンラインとともに伊勢丹新宿本店、日本橋三越などで販売されている。安くはない(例えばこぼしにくいコップは4500円)が、一部の商品は一月中頃まで入荷待ちの人気ぶりだ。

スゴイ職人の技術で、子どものためにホンモノを

伝統工芸の職人さんを訪ねると、「衰退しています」とみなさん口を揃えて言います。でも、伝統工芸品は同じ人間の手から生まれたとは思えないようなスゴイものです。私は生まれてからこういったものに触れる機会がほとんどありませんでしたが、「すごく好き!」と最初に出会ったときにとっても嬉しくなりました。

こんなに素敵なのだからもっとたくさんの人に伝統産業の魅力を伝えたいと思い、雑誌の連載を書きたいと考えました。そこで、20~40代の若手の職人さんを取材するという企画書を持ち込んで、実際に連載させていただけることになったのですが、記事だけでは、買い方が分からないし、売れる確証もないと感じるようになりました。

販売するにしても、そのままの商品では難しいと感じました。ここをもうちょっと…とか、柄をシンプルにしたら…とか、そのままで現代の人々の感性に合っているというものはなかなかありませんでした。「伝統産業だからいいものです」という販売の仕方ではなく、純粋にデザインが素敵で、機能的に優れているものを提供していかなければならないと感じました。

ある職人さんから、「子どもが通っている幼稚園のパパ、ママ友達から、小さい子ども向けの器がないと言われて、子ども向けの器を作った」というお話を伺いました。伝統産業品の多くは大人、それもご年配の方向けが多い市場でした。特に大手さんは子ども向けの市場は小さいため力を入れません。そこがすっぽり抜けていたんです。

私の中に、職人の技術のストック、そして"どうしてないのかな"という思いから描いたベビー・キッズ用の商品のストックがありました。この二つを「和える」事業をやろうと決めたのです。

いい技術に出会うと、それをそのまま売ろう、広めようとすることが多い。だが矢島さんは、そのままでなく、市場ニーズを見出して、技術と市場の掛け算で新たな事業を創造した。これはいかなる事業づくりにも当てはまる定石だ。

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