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西村賢太(無頼派作家)が大ファン稲垣潤一と語り合った夜
大衆居酒屋にてビールで乾杯する二人。西村氏は稲垣氏を前にして、ずっと背筋を伸ばして緊張しっ放し〔PHOTO〕小檜山毅彦

西村 僕は稲垣さんのデビュー曲『雨のリグレット』('82年)から数えて、30年来の大ファンなんです。僕の小説は女性から反感を買いやすいので、そんなヤツが熱心なファンで申し訳ございません。

稲垣 会うのは5回目ですが、いつお会いしても恐縮することしきりですね(笑)。僕が賢太さんを知ったのは5年ぐらい前。ファンの方から「西村さんの作品に稲垣さんの曲が登場していますよ」と教えてもらったんです。本を読んだ感想は……とにかくムズかしい漢字が多い(笑)。この人はきっと天才で、文章を書くために生まれてきたんだな、と。

西村 中卒の、馬鹿特有の悪いクセで、ああいう書き方になってしまうんです。

稲垣 またまた! いろいろ読ませてもらいましたが、どの作品もいつの間にか映像が頭の中に浮かんでくるから凄い。

西村 小説では主人公と一緒に住んでいる女性が稲垣さんの大ファンという設定なんですが、実際は僕がファンなんです(笑)。「稲垣ファンに悪い女性はいない」というイメージから、勝手に名前を使わせていただいて恐縮です……。