【農林水産 その3】 守りから攻めの発想へ転換を ~日本の農業を世界へ!

〔PHOTO〕gettyimages

人口減少社会である日本においては、農産物の国内市場を拡げようとしても限界があろう。一方で、グローバルに見れば、世界的な人口増加、新興国の所得水準の上昇などから、農産物市場は非常に有力な成長市場だといえる。

現在、世界の食の市場規模は340兆円で、2020年には680兆円に倍増すると予想されており、特に、アジアの成長がやはり大きい。中国・インドを含むアジア全体で考えると、市場規模は2009年の82兆円に比べ、2020年には229兆円と、約3倍増となる予想だ。

残念ながら、現状では原発事故の影響や円高によって輸出は大きく落ち込み、農林水産物・食品の輸出額は、約4500億円(2012年)に減少している。

しかし、幸いにも、日本食の人気はアジアでも欧米でも高い。日本食が世界無形文化遺産に登録されることも、日本食の世界的な人気の証左だろう。問題は、これらのブランド価値をどう輸出に結びつけられるかだ。戦略を間違わなければ、日本の農業は輸出産業として世界に打って出られるのだ。

1. オランダをベンチマークせよ!

世界第1位の農業輸出国は農業大国アメリカだが、第2位がどこかと言えば、意外にも国土の小さいオランダである。オランダは、九州と同程度の土地面積であるのにもかかわらず、2008年の農業輸出額では、1位のアメリカが約10兆円に続いて約7.5兆円と、世界第2位の先端農業大国となっている。ちなみに、日本は先述のように0.5兆円弱で大きな差がある。

オランダの農業に競争力があるのは、少数の農家が大規模化し、IT技術を取り入れて起業家になったからだ。一方で日本は、減反政策や補助金による農地の塩漬けで零細農家を温存させる「政策の失敗」によって農業の競争力を下げている。このことは政策転換によって農業の競争力を取り戻すことが可能であることを示唆しているといえよう。

このため、オランダの成功事例を徹底的にベンチマークして政策に取り入れればよい。オランダが近郊型農業の先端国となった成功要因として、政府主導で、輸出競争力を持つ野菜や花などの近郊型農業への重点化を行って品目別に栽培地域を集結したこと、食物向上などの農業の工業化、農業へのイノベーションの導入(CO2再利用技術やLED照明技術等によってハウス内を最適化する制御システムの導入)などが挙げられている。

また、「フードバレー」とよばれる異業種融合促進地域を設立し、1500近い食品関連企業・研究機関の集積・連携による新品種や技術の開発と普及も行っている。

こういったオランダ型農業政策をベンチマークとしつつ、日本の強みを発揮する政策を進めるべきだ。

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