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アジアのことは中国と話して決める!? ますます中国寄りにシフトするアメリカと同盟国・日本の微妙な関係
〔PHOTO〕gettyimages

「バイデン副大統領は、スーザン・ライス安全保障担当大統領補佐官と並ぶホワイトハウスの『2大親中派』なので注意した方がいい。ワシントンでは、『オレが一番、習近平と親しい』と自慢げに吹聴しているような政治家だから」

ワシントン在住の知人から、こんなメッセージをもらった。たしかに、12月2日から6日までのバイデン米副大統領の日本・中国・韓国訪問で見えてきたのは、「オバマ政権下のアメリカは、同盟国の日本を守る国というより、自国の国益しか顧みない身勝手な国」というものだった。

「早く日中間でホットラインを作れ」

11月23日に中国が勝手に設定した防空識別圏を巡って、日中対立が激しさを増す中、日本は”仲裁役”として、というより極めて日本に判官贔屓してくれる仲裁役として、バイデン副大統領に期待を寄せていた。台頭する仮想敵国が物騒な挙に出たのだから、同盟国の味方に立ってくれるだろうと思ったのだ。

だがフタを開けてみれば、バイデン大統領は、日本が求めていた中国に対する「防衛識別圏の撤回を求める共同声明」を拒否した。これについては日本時間4日未明に、ヘーゲル国防長官も、「防衛識別圏自体に問題はない」と言い切った。

加えて、中国が設定した防衛識別圏の域内を通過するアメリカの民間航空会社が毎日、中国側に通行許可証を求める行為をやめさせることさえ拒否した。突き詰めて言えば、バイデン副大統領の主張は、「早く日中間でホットラインを作れ」ということだけだった。なぜなら、アメリカにとって、過度の日中友好も困るが、日中対立の進行もまた、自国の国益を損ねると判断しているのである。

12月4日深夜から5日にかけて、中国国営新華社通信は、勝ち誇ったかのように、2種類の記事を配信した。まずは、訪日に関する記事で、「バイデンは日本で中国の防衛識別圏問題について話し合い、安倍の『3大要求』を拒否した」というタイトルだった。

〈 3日の晩に、バイデンと安倍が1時間の会談を行ったが、その場でバイデンは、日本がアメリカに要求していた3点を、ことごとく拒否した。それは第一に、中国に対する懸念を表明する「米日共同声明」を発表すること、第二に、日本が主張する防衛識別圏撤回の要求に賛同すること、第三に、アメリカの民間航空機に、中国に対して飛行計画書の提出をやめさせることだ。

バイデンの訪日で、日本政府の落胆は大きかった。ある日本の政治家は、「まったく日本の味方をしてもらえなかった」と言って嘆いた 〉

続いて、バイデン副大統領と習近平主席が、ガッチリ握手を交わす写真とともに、長文の記事を3本掲載した。それらをまとめると、要旨は次のようなものだ。

〈 中米双方は、「新たな大国関係づくり」に向けて、対話、交流、提携を強化していくことで一致した。バイデン副大統領は、「米中関係は21世紀の最も重要な二国間関係である。習近平主席の卓越的な戦略に則って、米中の新たな大国関係を築いていこうではないか」と述べた。

習近平主席は、今回の防空識別圏に対する中国の原則的立場を、バイデン副大統領に説明した。バイデン副大統領は習近平主席をほめた。

「あなたは非常に率直で、建設的に物事を考える人だ。この新たな二国間関係を発展させるにあたって、習主席の二つの特長は非常に有益だ。率直さは信頼感を得るし、信頼感は正しい変化を促す。そして建設的な物の考え方は、変革の基礎となるものだ」

12月4日午後、バイデンは北京のアメリカ大使館に立ち寄った際に、訪米のビザを取るために並んでいる大勢の中国人を見て、その列に寄っていって声をかけた。

「アメリカを訪問してくれてありがとう。君たちに一つ話をしよう。3ヵ月前にシンガポールのリー・クアンユー元首相と会談した際、リーから『アメリカがこれからも発展していくという根拠は何か? 私にはアメリカがブラックボックスに見える』と言われた。

私は、こう答えた。『アメリカというブラックボックスには二つのものが詰まっている。一つは、建国以来、常に新たな移民と新たな発想を受け入れてきており、それがアメリカの活力になっている。もう一つは、アメリカの子供が現状を批判すれば、ほめられることはあっても罰せられることはない』

アメリカ大使館に並んでいた中国人たちは、大変喜んだ。統計によれば、2012年にアメリカを訪問した中国人は、前年比35%増の約150万人に上った。つい2、3年前までは、アメリカのビザを取るのに100日もかかったが、いまは5日もかからない。 〉

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バイデン大統領は5日には、李克強首相と会談し、2014年以降の経済分野での米中関係の発展について話し合ったのだった。

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