【文部科学 その1】 大学経営改革 ~学長選挙の廃止、教授会の権限縮小、新陳代謝の促進を!
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毎年発表されている「世界大学ランキング」の2013-2014年度版が、今年の10月2日にイギリスの「Times Higher Education(THE)」から公表された。日本の大学が世界では評価が必ずしも高くない現状は残念ながら今でも続いている。

上位100位に入っている日本の大学は東京大学(23位)と京都大学(52位)の2校のみだ。上位200位まで拡げても、東工大(125位)、大阪大学(144位)、東北大学(150位)の3校を加えた合計5校である。トップ10を見ると、1位カリフォルニア工科大、2位ハーバード、3位オックスフォードを初め、アメリカとイギリスの大学が独占している。

政府は、「世界大学ランキンクトップ100に10年で10校」という具体的な目標を掲げているが、今は世界中の大学が、グローバル化社会において熾烈な国際競争を行っている時代であり、「100位以内に入ろう」などという甘い目標では太刀打ちできない。

世界中で、大学が知の創造、新産業の創造拠点として重要性が増している中で、質が高く競争力のある大学を国内に保持することは、国の浮沈に関わるほど重要な国益であるといっても過言ではない。「100位以内に入る」ではなく、日本ならではの分野、それぞれの大学ならではの分野で世界の1位とならなければならない。

それにはまず、改革を実行できる体制にしなければならない。大学のガバナンスを改革し、学長がリーダーシップを取れる体制にする。そして、大学を競争にさらす。当然ながら資金も必要だ。その方策を提言したい。

1. 大学ガバナンス改革 学長・理事会の権限を強化し、学長選挙は廃止、教授会は役割縮小を!

日本の大学改革が進まない大きな理由は、大学のガバナンス構造の問題だ。大学のガバナンス改革に関しては以前から政策提言がなされており、国立大学や公立大学は平成16年の大学法人化の際に、学長の権限強化、学長選考会議の導入、教学と経営の分離などの改革が実行されたはずであるが、実態はほとんど変わっていない。

現状では、大学内における教授会の力が極めて強いため、大学の組織のトップであるはずの学長がリーダーシップを発揮できる状況にはなっていない。

まず、大学の最高意思決定機関であるはずの理事会は、大学からの議案(人事、予算等)を追認するだけの形骸化した機関となってしまっている。形式上、理事会は学長任命権を有するが、教員による学長選挙で選ばれた人間を追認するだけの場合がほとんどだ。教員の採用や人事に関しても、教授会の決定の追認となっており、実質的に大学経営の重要な権限のほとんどを教授会が掌握する構造になってしまっている。

さらに、学長・学部長が教員による選挙で選ばれるという構造が、教授会の権限をより強固なものにし、大学の改革を遅らせている。学長は学長選挙によって選ばれるため、大学の経営者としてのスキルをもった経営人材が学長につくことはまれだ。学長は次の学長選挙でマイナス要因にならないよう、教員の反対する改革には踏み込むことができなくなってしまう。

一般の企業では社長をトップとした指揮命令系統が明確になっている。大学も企業と同様に組織であり、大学においても、学長をトップとした指揮命令系統を明確にする必要がある。

日本の大学の競争力強化の第一歩である大学ガバナンス改革のために以下の提言をしたい。

1)「学長の権限強化と理事会の経営・監督機能の強化」。大学の最高意思決定機関である理事会を実質的に機能させ、学長の選定と学長による大学経営の監督を担わせる。このために、弊害の大きい学長選挙を廃止し、理事会に実質的な学長任命権を付与する。その学長に大学における人事・予算権限を付与し、人事・予算に対する教授会の関与は排除する。学長に人事権を与えるため、学部長選挙は廃止する。

こういった形で学長の権限を強化した上で、優秀な経営人材を外部から積極的に学長に登用するべきだ。また、理事会の経営・監督機能の強化のために、理事会を構成する理事にも企業経営の経験者等外部理事を取り入れるべきだ。

2)「教授会の役割の縮小と明確化」だ。そもそも教授会の本来の役割は、大学における教育・研究上の重要事項に関して、学長や学部長が現場を担当する教授たちの意見を聴取する機会を提供することであり、その教授会が大学経営や人事にまで幅広く権限をもってしまっている現状はいびつだ。このため、教授会の役割を縮小させ、大学における人事・予算には権限を持たないことを明確にし、教育・研究に関する諮問機関としての役割に限定すべきだ。

現状、教授会が大学における事実上の権限を多く保持しているのは、学校教育法93条において「大学には、重要な事項を審議するため、教授会を置かなければならない」と規定される一方で、学長の選任やその他の重要な大学の意思決定に関しては法律上の名文規定がないことが原因だ。

したがって、学長選挙の廃止や学長の権限強化、理事会による経営監督、教授会の役割などを法律で明文化すべきであろう。

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