毎日フォーラム~毎日新聞社

生産調整(減反)を18年度めどに廃止
政府決定 丁寧な制度設計と環境整備が課題[農政]

2013年12月11日(水) 毎日フォーラム
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減反廃止で日本の稲作農業はどうなるだろうか=山形県鶴岡市で9月6日

政府は、主食用米の生産量を抑制することで価格を維持する生産調整(減反)を5年後の2018年度をめどに廃止することを決めた。国が各農家に生産量目標を配分する現行制度を廃止し、生産者や農業団体が需要に応じた生産量を判断する仕組みへの移行を目指す。ほぼ半世紀ぶりの減反政策の転換となるが、世界貿易機関(WTO)農業交渉の進展を見据えて02年に策定された「米政策改革大綱」の改革路線への回帰とも位置づけられる。

減反制度は、国が毎年11月、都道府県別の主食用米の需要実績と、国内の需要見通しに基づいて生産量の目標を都道府県に配分し、市町村を通じて各農家に割り当てる仕組み。過剰生産による値崩れを防ぎ、零細・兼業の多いコメ農家の経営安定化を図り、主食のコメの安定供給を目的にした一種のカルテルだ。

減反政策は1970年に本格導入された。戦後のコメ増産や食生活の変化で60年代後半にコメ余りが発生し、余剰米の処理で巨額の財政負担が生じたことが契機となった。78年には麦、大豆を中心に転作補助金が導入され、対象作物や単価が数年ごとに変更されながら現在まで継続している。

減反政策では、減反未達の地域の農地整備事業を後回しにしたり、翌年の減反面積を増やすなどのペナルティーが設けられたため、農村に軋あつれきを生み、コメ農家の意欲低下につながった。一方で日本人のコメ消費量は過去50年間で半減し、コメを生産しない水田は全国250万ヘクタールの約4割に達している。減反政策はコメ農家の規模拡大や生産性向上、消費者のニーズに応じた多様な取り組みを促すシステムではなく、国はコメの需給調整への関与を段階的に弱めてきた。

90年代以降に本格化した減反政策改革は、貿易自由化交渉ウルグアイ・ラウンドやWTOの農業交渉への対応が背景にある。最初の転機は95年の「食糧管理法」廃止と「食糧法」施行だ。食糧法では、コメの需給調整は生産者の主体的な取り組みとされ、食管制度で生産・流通を全量管理していた国の役割は備蓄などに限定された。しかし、減反政策はそのまま継続された。

WTOドーハ・ラウンドの農業交渉の進展をにらみ、02年に策定された「米政策改革大綱」では、08年度を目標に「農業者・農業者団体が主役となる需給調整システムに移行」する方針を打ち出した。ドーハ・ラウンド交渉で農産物の関税が引き下げられ、外国産米が流入した場合、国内生産を抑制しても価格維持の効果は限定される。そこで、コメ農家を保護する仕組みを、減反で高米価を維持する「消費者負担」から、コメの内外価格差を埋め合わせる補助金を支払う「納税者負担」に転換する狙いがあった。

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