社長の風景

ガンダムのプラモデルがこんなにヒットするとは思っていなかった。今も人気が続くのは、お客様の声を徹底的に聞いているからでしょう。

バンダイナムコ ゲームス 大下聡

2013年12月05日(木)
週刊現代
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パックマンなどを生んだゲーム業界の老舗・ナムコと、バンダイのゲーム部門が'06年に統合。バンダイナムコゲームスが誕生した。その後『ガンダム』や『ワンピース』など人気キャラクターのゲームをヒットさせ、さらには『太鼓の達人』など、新たな遊びの文化をつくっている。社長はバンダイ出身の大下聡氏(60歳)だ。


ガンダムのプラモデルがこんなにヒットするとは思っていなかった。今も人気が続くのは、お客様の声を徹底的に聞いているからでしょう。おおした・さとし/'53年、山口県生まれ。'76年、拓殖大学商学部を卒業しバンダイへ入社。玩具事業を担当し、ガンダムのプラモデル製作などに携わる。その後、マーケティング部の部長などを歴任し、'02年にバンダイネットワークス代表取締役社長に。'10年にはバンダイビジュアル代表取締役社長に就任し、'12年より現職 ※バンダイナムコゲームスのWebサイト

志望動機

大学4年生のとき、たまたまバンダイの入社案内のハガキを見たら、入社試験の申し込みに来れば昼食と交通費が出ると書いてあった。そんな理由でバンダイへ行ったところ、いきなり「入社する意思、ある?」と訊かれた。断ったら食事と交通費がもらえなくなると思い、つい「あります!」と答えました。すると、その場で「キミ合格!」と言われたんです(笑)。

バンダイ製の帆船のプラモデルを購入した小学生から「パーツが足りない」と何回か会社に電話がかかってきたことがありました。「冗談でしょ?」などと思いつつ車で家へ向かうと、待っていたのは素朴そうな男の子。パーツの不足もあったのですが、組み立てる途中で壊れてしまったものもあったようでした。

その子に話を聞くと、彼は「お母さんに誕生日プレゼントでもらったんです。だからちゃんと作りたかった」と語り始めた。私はこんなに模型を大切にしてくれる子供がいることに感激し、車に積んであった玩具や模型を全部渡して帰ってきました。家族の方にも喜ばれましたね。私が玩具業界で働くことに誇りを持つようになったのは、それからです。

人情派

大切にしているのは、死語かもしれませんが「愛社精神」。自分がよくなれば会社もよくなる、会社がよくなれば自分もよくなる、それが、仲間と企業で働く醍醐味だと思う。

誕生会 毎月、社長肝いりで開催。「社員同士のコミュニケーションにもなるし、なにしろ、私もみんなと話せてうれしい」とか。前列中央が大下氏

迷わせない

会社存続の絶対条件の一つとして、利益は必要です。だから、社員に何か伝えるとき、利益を求めるように伝えます。こう見えても私、時には社員に厳しいことも言うんですよ(笑)。でも逆に、どんな言い訳があっても、社員を路頭に迷わせない、という強い意志を持っています。

帰れよ

新入社員のとき、エライと思われる人から「キミ、新人か?」と階段で呼び止められ、かけられた言葉が今も心に残っています。「朝はちゃんとくるんだよ、夜は時間通り帰るんだよ」と言うんです。聞いたときは「何を当たり前のことを」と思ったんですが、その後、気づいた。「常に時間管理をしろ。残業すればできるなどと考えず、仕事を終える時間も守れ」という教えだったんです。それ以来仕事の効率化を大切にしています。去年より給料が上がるなら、同じ働き方をしていてはダメ。去年よりさらに早くこなせるように、と心がけていました。

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