28歳になった時に社会で活躍できる女性になるために---「伸びる子の育て方」を品川女子学院の漆紫穂子校長に聞いた

安倍晋三首相は、自らが推進する経済政策アベノミクスの「中核」として「女性の活躍促進」を掲げている。6月に閣議決定した「成長戦略」では、保育所の待機児童の解消や、女性の活躍促進などに取り組む企業へのインセンティブ付与、公務員での女性登用の拡大などを打ち出した。
こうした改革を教育の現場ではどう見ているのか。企業とのコラボレーションによるライフデザイン教育など斬新な女子教育で知られる
品川女子学院の漆紫穂子校長に聞いた。

聞き手: 磯山友幸(ジャーナリスト)

男女共に働くパートナーシップが必要

---最近出版された『伸びる子の育て方』というご著書の冒頭に、品川女子学院が取り組む「28(にじゅうはち)プロジェクト」の話が出てきます。

28歳の時に社会で活躍する人材の育成を柱に据えて、そのためにはどんな教育が必要か、逆算してライフデザインを描いていく、という教育を行っています。

---28歳の時にどんな女性になっていることを目指すのでしょうか?

品川女子学院校長の漆紫穂子さん(撮影:山田愼二)

社会で働くことも、子どもを産み育てることも、どちらも諦めない女性です。第一子を出産する平均年齢が30歳ですので、28歳といえば、結婚して子どもを生むことを考える時期です。

雇用機会均等法ができた私たちの世代は、仕事をバリバリやっていて40歳を過ぎて一息ついた時に、子どもを作ろうかと考えてもリスクが大きかったり、なかなか授からなかったりで、諦めざるを得ない女性も多くいました。

男と女は違います。当然、人生設計も違うわけで、早めに決めていくことが非常に大事。15~16歳で、これからどんな学部学科に進むのか選択を迫られますが、ここできちんと考えずに、やり直しをしたりすると、女性の人生で重要な20歳代の時間をそれに費やすことになってしまいます。

---女性が働き続けるのが当たり前の社会になってきました。

2010年に64%だった生産年齢人口の割合は2060年には51%にまで低下するそうです。男だけでなく女も働かなければ、社会は成り立たなくなります。いずれは(女性に一定比率を割り当てる)クオータ制や、(企業が意欲の高い女性を積極登用する)ポジティブ・アクションなどが議論されるのでしょうが、今はその過渡期だと思います。男女共に働くパートナーシップのあり方を整えていくことが必要でしょう。

---安倍首相は「女性の活躍促進」を政策の柱に掲げています。

女性活用を取り上げていただけるのは素晴らしい事だと思います。もちろんトップがビジョンを示すことは大事ですし、どんな社会を目指すのかをが分からないと、改革を掲げてもうまくいきません。そのためには、できるだけ現場の声を聞いていただきたいですね。改革が必要な問題の答えは、必ず現場にあります。上から仕組みを作っても、現場の意思とずれていてはうまく機能しません。

---具体的には?

子どもが生まれて、保育所に預けることができないからという理由で仕事を休まざるを得ない人がまだまだ多くいます。待機児童の早急な解消が何としても必要です。

また、従業員100人以下のような組織に、育休付与を義務付けたとしても、実際に数人の育休者が出たら組織は回らなくなります。責任感の強い女性ほど休めないでしょう。そういう組織に助成金を出すなどして、育休を取らせやすくする工夫がないと機能しません。

---ただ上から押し付けるだけでは難しい、ということですね。

ええ。それに社会や家庭の意識改革も必要です。最近は、同じ職場どうしで結婚して働き続ける夫婦が増えています。所得もほぼ同じ、仕事の忙しさも同じ。それなのに家事負担は圧倒的に女性というケースもまだまだ多い。企業でも、もっと男性が休んだり、残業せずに早く帰ることができるムードを作るべきでしょう。

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