景気回復、賃金上昇も期待できる? それとも、ただのイリュージョン? 市場でささやかれる「アベノミクス相場第2幕」の正体とは
11月28日の株価 〔PHOTO〕gettyimages

特定秘密保護法案の審議強行や中国の尖閣諸島上空を含む防空識別圏の設定といった深刻な話題もあって、一時に比べると、「アベノミクス」を面白おかしく取り上げるメディアは減ってきた。しかし、それでも、先週、日経平均株価が6年ぶりの高値をつけた株式市場では、「アベノミクス相場第2幕」という言葉が生まれて、なかなか大きな話題を呼んでいるという。

いったい、その言葉は何を意味しているのか。その正体を考えてみたい。

経済政策への期待を持たせたアベノミクス

今回が「第2幕」というのだから、まず、株の街・兜町で使われている「第1幕」とは何なのか、前提になっている言葉の定義を紹介しよう。

通説に従うと、「アベノミクス相場」は「昨年11月14日の党首討論で民主党の野田佳彦前首相が衆院解散を表明したのが起点だ」(11月14日付日本経済新聞電子版)となる。つまり、「アベノミクス相場」とは、今年5月までの約7ヵ月にわたった株式の上昇局面を指すというのだ。長らく8,000円前後で低迷していた日経平均株価は1万6,000円に迫り、ほぼ2倍に跳ね上がったのは事実である。

しかし、スタート時点では、アベノミクスは影も形もなかった。あったのは、政権交代の期待を担って誕生したにもかかわらず、鳩山、菅、野田の民主党3内閣がことごとく経済失政を繰り返したことへの失望感と、その失政が終わるかもしれないという消極的な期待感だけだった。

そして、野田前首相による解散発言の3日後、安倍晋三自民党総裁(当時)が熊本市内で行った講演で、政権を奪還した場合、景気刺激策として公共投資を拡大し、その財源を調達するために「建設国債をできれば日銀に全部買ってもらう」と発言、「(それにより)強制的にマネーが市場に出ていく」と補足したとことが、市場に歓迎された。

公共事業は乗数効果が低く、長続きも期待できない。が、「禁じ手」とされる「日銀の国債引き受け」の導入まで示唆したのだから、それまで不況の元凶だった円高対策に役立つ経済政策が何かしら打ち出されるかもしれない、との期待を持たせたのである。

その後、首相の座に就いた安倍氏は、任期満了を目前に控えた白川方明氏から黒田東彦氏へと日銀総裁の首を挿げ替えた。これにより、「異次元の金融緩和」を打ち出させた上で、財政政策と構造改革(規制緩和)を加えた「3本の矢」を柱とする経済政策を「アベノミクス」と名付けたのは周知の通りである。スタートはイリュージョンに過ぎなかったが、政策的には尤もらしい体裁を整えることができたと言ってよいだろう。

余談だが、永田町・霞が関には、手あかの付いた金融、財政政策の2本建てだった当初案に、構造改革を加えたのは麻生太郎副総理兼財務大臣であり、本来は「アベ・アソウノミクス」と呼ぶべきだとの異説もある。

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