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メガバンクの「責任の取り方」世間では通用しません 役員報酬を返上するなら寄付するべき「みずほ」が得してどうする
〔PHOTO〕gettyimages

リーマンショック後、最高益だそうだ。その3メガバンクが、ほぼ同時に暴力団への融資の存在を明らかにした。それでいて居丈高なトップたち。この妙な感じは何なのか。銀行の非常識な常識に迫る。

これでは焼け太りでしょ

やはり、と言うべきだろう。みずほ銀行に続いて、三菱東京UFJ銀行や三井住友銀行でも、本体や関連会社による暴力団関係者への融資が発覚した。

そんななか、新聞の投書欄に載った「謝罪の方向、間違っていないか」と題した投稿は、多くの国民の思いを代弁するものだった。その疑問は、暴力団関係者への融資発覚を受けてみずほ銀行が発表した社内処分のなかの、役員報酬カットに対して投げかけられたものだ。

〈それでは本当の意味での謝罪になっているとは思えない。

返上した報酬は企業に戻され、企業の懐は何ら痛まないからである。真に社会に対して謝罪するのであれば、その返上する分を実際に迷惑をかけた人たちに提供するとか、それが無理なら、慈善団体や災害の被災地に寄付すべきだ。経営者としては、頭を下げ、自分の懐を痛めたことで免罪符を得たような気になっているであろうが、大きな心得違いである〉(朝日新聞11月18日付)

正論というほかない。

金融庁に業務改善計画を提出する際、みずほ銀行が発表した処分は塚本隆史会長の引責辞任、佐藤康博頭取の役員報酬半年間カット、42人の役員の減給、すでに銀行を去っている西堀利元頭取ら12人の元役員に過去の報酬の返還を求めるというもの。半年間無報酬というと一見、厳しいペナルティに見えるが、佐藤頭取の報酬は、約1億2000万円。半減したとて年収6000万円という、庶民には想像もつかない高収入だ。しかも、佐藤頭取の報酬をカットすればそれだけ銀行が払うカネが少なくて済むということ。過去の役員にすでに支払った報酬を銀行に返還させるに至っては、予期せぬ臨時収入のようなものだ。

アベノミクスの影響もあり、3メガバンクでリーマンショック後最高の今期1兆7000億円近い純利益が見込まれるなど、ただでさえ銀行が儲けている中、これでは不祥事を起こしておいて、焼け太りである。

一連の食材偽装問題では該当商品の回収や販売中止、さらには顧客への料金返還など、関係企業は金銭的ダメージを受けている。評論家の大宅映子氏は、その食材偽装問題と比較して、こう批判する。

「銀行が『大した問題じゃない』って思っていることの証左でしょう。不祥事を起こして儲かるなんて、おかしな話ですよ。銀行はステータスばかり高いですが、基本的に人のフンドシで相撲を取る商売でしょう。消費者運動が盛んなアメリカだったら預金引き揚げ運動が起こりますよ。バブルのときだって、暴力団への迂回融資や地上げで巨額の不良債権を作ったのに、税金で助けてもらった。今回も自らを痛めずに済まそうということでしょう」

みずほ銀行側はこの処分で逃げ切れるとタカを括っているのだろうが、世間の目は「アンタらが儲けてどうすんの!?」と怒りを通り越して呆れている。そしてそれにより企業イメージも失墜した。

「みずほは大手行のなかで唯一、消費者金融を持っていなかった。『儲かればいい』と思っている他行より一段上の倫理観があるのだと思っていただけに、裏切られた思いで一杯です」(経済評論家・森永卓郎氏)

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