特定秘密保護法案を参院に送った安倍政権には 中国の防空識別圏設定は“使える”道具に過ぎなかった!
2012年には中国でこんなゲームまで [Photo] Bloomberg via Getty Images

 特定秘密保護法案は11月26日深夜、衆院本会議で採決が行われ、自民、公明両党の与党とみんなの党などの賛成多数で可決され、参院に送付された。
 野党はこぞって政府・与党の暴挙だとして弾劾、大手新聞社の中でも『朝日新聞』、『東京新聞』、『毎日新聞』3紙の批判トーンが際立っている。

 採決に遡る3日前の23日、中国国防省は沖縄県・尖閣諸島の上空を含む東シナ海に防空識別圏(ADIZ)を設定したと発表した。
 安倍晋三政権は直ちに、中国の習近平・国家指導部が尖閣諸島の主権を主張するため一方的に危機感を煽り、日本側から譲歩を引き出すためのものだと、強く反発した。

 そしてまさに特定秘密保護法案が衆院を通過した翌日の27日には、小野寺五典防衛相とチャック・ヘーゲル米国防長官は電話で会談した。そのなかで、ADIZの一方的な設定は地域の安定を損ね、不測の事態を招きかねないとして、日米が共同で強い対中対応をとっていくことで合意した。

 米国は先立つ26日に戦略爆撃機B52を2機グアムから発進、中国設定の防空識別圏内で飛行訓練を行った。
 一方、日時は特定されていないが、菅義偉官房長官も28日の定例記者会見で航空自衛隊機と海上保安庁の航空機が中国の防空識別圏内を飛行したことを明らかにした。

 こうした日米両国の防空識別圏内飛行に対して中国側の反応はなかったが、まさに一触即発の様相を帯びてきているかに見える。

 ところが、中国側は、実は公式発表数日前に外交ルートを通じて日米両国にADIZ設定を事前通告していたというのだ。
 第1報に接した安倍官邸は「これは使える」と瞬時に判断、緘口令をしき外部への情報流出を遮断したという。

会期延長なら補正予算案も審議対象に

 その企図するところはもちろん、世上が注目する特定秘密保護法案の衆院強行採決を「日中緊張」に転じさせて、少しでも同法案採決批判を弱める、あるいは関心を薄めるためだった、と官邸周辺の人物は解説する。安倍官邸も小癪なことをやるものだ。
 筆者は陰謀論者ではないが、十分あり得ることだと思う。

 さて、同法案は参院に送られたが、今国会の会期末の12月6日まで審議・採決の時間に余裕がないことから、政府・与党は会期延長の可能性を探っている。
 だが、2週間もの大幅延長となれば、5兆円規模の経済対策を含む13年度補正予算案が俎上に載せられることになり、悩ましいというのが実状だ。

 来年4月からの消費増税に伴う13年度補正予算案は、当初見積もりより2.3兆円上回る今年度税収増により総額7兆円の超大型規模になる。12月12日には同案が閣議決定される。

 その直前に発表される米国雇用統計が余程の低率でない限り、現在の株高・円安トレンドは年末まで続く。
 証券業界は今、日経平均株価が1万6000円をクリアし、1万7000円を窺う水準に達すると、半ば期待感交じりで見ている。

 こうした日本経済再生基調に比べて、「サムスンの一本足打法」に支えられてきた韓国経済は、輸出業界がドル高・円安の影響をもろに受け、より厳しい局面に晒されることは必至だ。

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