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麗しき国、日本! 2ヵ月ぶりの帰国でしみじみ感じるドイツとの決定的な違い
〔PHOTO〕gettyimages

飛行機の窓から、関東平野の広がりの向こうに、雪をかぶった富士山がくっきりと見えた。ちょうど2ヵ月ぶりの日本。毎回、「ああ、やっとたどり着いた」と思う。

11月の小春日和、ここは天国だ。東京の冬は、青空が見える。しかも、ちっとも寒くない。ドイツはここ3週間ぐらい、ほとんど連日、薄暗くて、昼間も電気をつけなければいけないほどだった。それどころか、十数時間前、私がシュトゥットガルトを発ったときは暗いだけでなく、みぞれが降っていたのだ。

東京は、真冬になって、皆が「身を切るような寒さ」などと言うときも、たいして寒くない。本当に寒いのは家の中だけだ。私の東京のマンションは、サッシから隙間風が入ってくる。日本の技術力を鑑みると、これは、わざと隙間風を入れるように作ってあるとしか思えない。何故だろう? 私は練炭自殺なんてしないのに。

その点、ドイツではセントラルヒーティングがほとんどなので、家の中はポカポカしている。夜中のバスルームまで暖かい。省エネのため、建築基準がどんどん厳しくなり、新築の家の外壁には強力な断熱材が使われている。

また、古い家をリフォームして断熱材を補てんした場合には、工事に補助金が出る。日本の家はスースーしていて、暖房も冷房もかなり無駄になっているような気がする。省エネの可能性は、まだまだありそうだ。

食べたいものが頭の中で膨らんで爆発寸前

東京にやってきて嬉しいことは、穏やかな天候だけではない。たとえば、バラエティーが豊富でおいしい食べ物。そういえば先週、ドイツ人と結婚している日本人の友人と会って、シュトゥットガルトのレストランでお昼を頂きながら、ドイツ料理批判に花が咲いた。

「まず、この量! スープからして多いじゃない」

そう、ドイツ料理には美味しい物もたくさんあるのだけれど、まず量の多さに辟易する。

「前菜なんて食べると、もうお腹いっぱいよ」

「カツを頼めば、大きいのが2枚」

しかし、子供以外は、シェアする習慣もないので、打つ手がない。

「それに、料理によっては、一品だけがドーンとお皿いっぱい出てくるから、食べ続けるのが辛いわよね。飽きるし」

「ああ、そういうの、もう5年ぐらい注文していないわ」

「じゃあ、何を食べるのよ?」

「そうね、家で作るのが一番ね」

といった悲しい話だった。

ちなみに、このレストランの目の前に、とても流行っている回転寿司屋がある。怪しい回転寿司屋だ。なぜ怪しいかというと、全面ガラス張りの店舗のガラスに、墨書のような文字で大きく「回転寿司」と書いたシールが貼ってあるのだが、なぜか、その文字が裏表逆。店の中から読めば合っている。しかし、こういうものは普通、外から読めるように張るものだ。

ということは、漢字を知らない人(つまり、中国人でも台湾人でもない人)が、きっとこうだろうと思って貼ったに違いない。なんだか信じられない。私だったら、アラビア語など、自分の読めない文字のシールを張るときは、一応誰かに訊いて、裏表と上下だけは確かめるだろう。いずれにしても、絶対に入りたくない回転寿司屋だ。

なのに、ここに行ったドイツ人が皆、「初めてお寿司を食べた!」と喜んで報告してくれるのにはがっくりくる。聞いてみると、チョコレートプリンなども回っているらしい。寿司のほうも推して知るべし。「あなたの食べたのはお寿司ではない」と言いたいが、「じゃあ、どう違うの?」と訊かれると、それを説明するのも、また面倒だ。

だから、日本に帰ってくると、まず、食べたいものがあれこれ頭の中で膨らんでいて、すでに成田で爆発寸前だ。「今夜はお鮨にするか、それとも王将の餃子か? いや、まずお昼は天ぷら蕎麦。やっぱりカレーがいいかしら」といった感じ。

霜降りのステーキなんて、ドイツ人が見たら、ビックリ仰天するだろうといつも思う。「これは何の肉ですか?」と聞くかもしれない。ドイツ人は、牛肉とは脂がない肉だと信じている。量については、「少な過ぎる!」と怒りだす可能性アリ。

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