佐藤優のインテリジェンスレポート「韓露首脳会談」「グルジア大統領選挙」
【はじめに】
韓露首脳会談に関して日本の報道だけを読んでいると、プーチン大統領が日本から韓国にパートナーを乗り換えたような印象を受けます。この見方が間違えていることを分析メモで説明しました。

それから、日本でほとんど取り上げられていないグルジア大統領選挙について、あえて考察の対象にしました。それは現在、イランをめぐる国際情勢が動き始めているからです。ロシアがイランに対する攻勢を強めれば、地理的に両国の間に挟まるトランスコーカサス(アゼルバイジャン、アルメニア、グルジア)に対する影響力を米国が強めようとします。その点からグルジアの動きもウオッチする必要があります。

【佐藤優直伝「インテリジェンスの教室」Vol025 今回の目次】
―第1部― インテリジェンスレポート
 ■分析メモ No.57 「韓露首脳会談」
 ■分析メモ No.58 「グルジア大統領選挙」
―第2部― 読書ノート
 ■読書ノート No.75『グローバル・スーパーリッチ――超格差の時代』
 ■読書ノート No.76「偉大な金正日同志をわが党の永遠なる総書記として高く戴き、チュチェの革命偉業を立派に成し遂げよう――朝鮮労働党中央委員会の責任幹部への談話――」
 ■読書ノート No.77 『論理的に考え、書く力』
―第3部― 質疑応答
―第4部― 文化放送「くにまるジャパン」発言録
―第5部― 今後のラジオ出演、講演会などの日程
〔PHOTO〕gettyimages

分析メモ No.57 「韓露首脳会談」

【事実関係】
1.11月13日、ロシアのプーチン大統領が韓国を公式訪問し、ソウルの青瓦台(大統領府)で朴槿恵大統領と会談した。会談終了後、両首脳は合同記者会見を行い、共同声明を発表した。

2.共同声明の第33項冒頭には、「双方は、歴史の車輪を逆転させることを目的とする声明や行動の影響を含む現在生じつつある障害のために北東アジアに存在する協力の巨大な潜在力が完全には実現できていないことに憂慮を表明する」(ロシア大統領公式ウエブサイトに掲載された文書より仮訳)と記されている。

【コメント】
2.―(1)
プーチン大統領は、これまで日本との関係改善に意欲的だった。それが今回の訪韓で、韓国と提携して反日統一戦線の一翼を担うようになったと受け止めると事柄の本質を捉え損ねる。

<プーチン大統領が「遅刻」、首脳署名式と記者会見ずれこむ
この日1日の日程で訪韓したプーチン大統領は、朴大統領との首脳会談を控え30分遅く会談会場の青瓦台(チョンワデ、大統領府)本館に現れた。当初プーチン大統領は午後1時に到着し午後1時5分から朴大統領と単独首脳会談をする予定だったが、実際の会談は午後1時30分ごろに始まった。1時間ほど予定された首脳会談も2時間近くに増え午後3時30分まで続いた。

(略)

2.―(3)
外交常識に照らして、公式首脳会談に30分近く遅れるのは、きわめて非礼な行為だ。事実韓国では、プーチンは非礼であるとの非難が起きている。

2.―(5)
元インテリジェンス・オフィサーであったプーチンは、意味のない行動や発言をしない。首脳会談の前に事務方で、共同声明文について詰める。この過程で韓露間にかなり大きな見解の相違があり、最終的にロシアが譲歩することになったが、プーチンはそのことに対して不満を持っているということを、首脳会談への大幅遅刻という形で可視化したと見るのが妥当だ。

(略)

3.―(3)
韓国の強引な姿勢がプーチンの神経を逆撫でした。共同記者会見の際のプーチンの立ち居振る舞いも朴槿恵大統領に対して冷淡だった。日本外交は、こういう手法でプーチンと交渉してはいけないという反面教師として、今回の韓露首脳会談から学ばなくてはならない。・・・・・・

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