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ITトレンド・セレクト
2013年11月28日(木) 小林 雅一

米国の秘密情報を保護する法律は、今、どんな結果を招いているか?

しかし「他の先進国が持っているから、日本も持って当然」という論理はかなり短絡的だ。むしろ諸外国における類似の法律が、実際にどう運用され、それが各国の社会にどんな影響や結果をもたらしているか。これを知ることの方が、特定秘密保護法案の妥当性を検討する上で、より重要なことではなかろうか。

と言っても、あらゆる国の法制度を見比べることは現実的には難しいので、本稿では日本にとって最も関係が深い米国のケースに絞って見てみたい。

本当の問題は、法律がどう運用されているか

米国で国家機密の漏えいを防ぐ法律は、1917年に成立した「スパイ活動法(Espionage Act)」である。その名称や時代背景からも推察されるように、元々は第一次世界大戦に参戦したばかりの米国において、米軍の軍事作戦を妨げたり、敵国を利するスパイ活動などを取り締まるための法律だった。

同法は、その後、何度も改訂され現在に至っている。現在の正式名称は、アメリカ合衆国法の第37章「スパイ活動と検閲(Espionage and Censorship)」だが、一般的には今でも「スパイ活動法」と呼ばれている。

この米「スパイ活動法」は第792条から第799条までの8条に渡る。このうち特に第798条「機密情報の開示(Diclosure of classified information)」では、「機密に分類された米国のスパイ活動(communication intelligence)情報などを意図的に部外者(unauthorized person)に漏らす行為に、最高10年の刑期を科す」といったことが定められている。他にも幾つかあるが、この798条などが、現在、日本で審議中の「特定秘密保護法案」に該当する部分と見ていいだろう。

本稿では、このスパイ活動法の条文の詳細には立ち入らない。もちろん法律の条文(内容)は重要だが、それ以上に重要なのは、法律が実際、どのように運用されてきたかだ。日米英仏など国を問わず、どこの民主主義国家でも法律になる以上、その条文には、しごく真っ当な事が書かれているはずだ。

しかし法律の条文は解釈次第で、いかようにも運用され得る。従って本質的な問題は、ある法律が実際、どのように運用されてきたかにある。つまり、(所詮は結果論でしかないが)ある法律の妥当性を検証するには、その法律が実際、どう運用されてきたかを見るしかない。

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