The New York Times

米国で広がる「カジノとマリファナの合法化」、そしてその自由の代償

「ニューヨークタイムズ」レポート

2014年01月31日(金) ロス・ドーザット
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取材・文:ロス・ドーザット(NYT記者)

かつてのセックスの問題と同じことが起こっている

何が情念をかきたてて、新聞の大見出しとなるかーーそれを考えれば、米国でおきる唯一の文化的議論が、セックスと関係していると想像するのはたやすい。

われわれの内なる妄執にはそれなりの根拠がある。
欲情はアイデンティティーと絡み合い、セックスは人の未来をはらみ、家族は人生の最初の一歩を踏み出すところだ。

しかしアメリカの文化的景観の変化を理解するためには、時には広角レンズで見るような見方が役に立つ。というのも、セックスと生殖についてわれわれの考え方が変わったのと同様のトレンドがいま、より広くに見られるからだ。

急増するカジノ賭博とマリファナ使用

カジノ賭博とマリファナという2つの問題を考えてみよう。同性婚についての議論の受け止め方が、かつてない速さで変化した。同様に、カジノとマリファナについても、この30年の間にめざましい速さで社会の本流となってきた。

1990年では、カジノ賭博はネバダとアトランティックシティーに集中していた。その後、アメリカ先住民居留区で賭博が興り、そして部族という「イチジクの葉」ぬきのカジノが出現した。現在、商業カジノは23の州に増え、かつての「ラスベガス観光旅行」のようなカジノ詣は、日常的なエンターテイメントとなった。

アメリカ価値研究所は、「米国北東部および中部大西洋岸諸州に住んでいる成人のほとんどが、いまや、カジノまでクルマでちょっとの距離の所に住んでいる」という報告書を今年発表した。そして11月5日以降、カジノ通いはもっとたやすくなる。ニューヨークの有権者たちが、州内にさらに最大7ヵ所のカジノを許可する憲法修正を批准すると見込まれているからだ。

マリファナ革命は、ワシントンとコロラドのみが完全合法化を試みているので、それほどは進展していないと言っていい。しかし今後、それに続く同様の実験が見られることが予想される。医療用のマリファナはすでに20の州で手に入る。同時に、この問題に対する世論は、2002年の合法化支持の32%から、最新のギャロップ世論調査の58%へと、同性婚と同様に支持が急増している。

弱者からカネを搾り取る仕組み

ギャンブルとマリファナが、多くのアメリカ人の支持を得た過程には、かなりの違いがある。

〔PHOTO〕gettyimages

カジノの拡大は、税金の増収をねらう各州政府と、選挙資金を喜んで寄付するカジノ業界が推進してきた、「トップダウン型」だ。一方、マリファナの許容は、いわば草の根的で、活動家やアーティストの推進によって転換されてきている。つまり、終末期患者への共感の影響を受け、ドラッグとの闘いにうんざりした国民にせき立てられた結果なのだ。

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