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特別レポート 暴走する隣国のドン 習近平、この男大丈夫!? 「戦争の準備をせよ」「逆らうものはタイホせよ!」「尊敬するのは毛沢東」
3中全会で一致団結を見せたトップ7だが、権力闘争は激化する一方だ〔PHOTO〕gettyimages

中国共産党の重要会議「3中全会」を終え、革命に明け暮れた毛沢東路線をひた走る習近平主席。だが恐怖政治に不満が渦巻き、その影響は日本にも飛び火してくる。中国でいま何が起こっているのか。

カリスマ歌手が突然消えた

習近平政権の中長期の政策を決める「3中全会」(中国共産党第18期中央委員会第3回全体会議)が、11月9日から12日まで北京で開かれた。

その最終日に採択されたコミュニケ(声明)に、「国家安全委員会」なる新組織の設立が盛り込まれたことが、内外の話題を呼んだ。コミュニケには、〈国家の安全体制と安全戦略を完全なものにするため、健全な公共安全システムを新設する〉と書かれている。

取材にあたった産経新聞中国総局の矢板明夫特派員が解説する。

「国家安全委員会は、習近平主席が、公安部や国家安全部など国内の警察・情報機関、及び人民解放軍を完全掌握するために新設する機関です。

周知のように、3中全会直前の10月28日には天安門広場前で、また11月6日には山西省の共産党庁舎前で、2度の爆破テロが起こりました。習近平政権に対する国民の不満は、頂点に達しているということです。また3中全会に合わせて、全国から10万人が陳情のため北京へ押し寄せたという話も聞きました。

そんな中、習近平は今後、弱者を切り捨て、富国強兵の道に突き進もうとしている。そうなると、知識人たちの激しい抵抗が予想されます。そこで国家安全委員会を創設し、逆らう者は迷わず拘束して、一罰百戒にしようという狙いなのです」

実際、この夏以降、習近平政権による容赦ない知識人への弾圧が始まっている。一例を挙げれば、次の通りだ。

・7月22日、若者のカリスマである女性歌手・呉虹飛が、身に覚えのない国家騒乱罪で逮捕された。呉虹飛はそのまま、北京市朝陽区の拘置所に、11日間も勾留された。

呉虹飛が突然、失踪したことで、ファンたちが騒ぎ出し、ようやく拘束を解かれた。ゲッソリして帰宅した呉虹飛は、拘置所に自分と同様の逮捕者が約20人もいたことを明かした。

・8月24日、広州一の人気紙『新快報』の劉虎記者が、「馬正其・国家工商総局副局長が重慶市の幹部時代に多額の賄賂を受け取っていた」と書いたことで、社会紊乱罪が適用されて逮捕された。10月19日には、同紙の陳永洲記者が、湖南省の国有企業「中聯重科」の批判記事を書いたとして、「商業名誉毀損罪」で逮捕された。

・8月25日、著名な慈善家の薛蛮子氏が、突然逮捕された。薛蛮子氏は、米シリコンバレーでIT企業「UTスターコム」を立ち上げて大成功を収めた後、帰国。

「多発する幼児誘拐事件は中国の恥だ」として、自らのミニブログを使って、誘拐された子供たちの救援活動を行っていた。ミニブログのフォロワーは、逮捕時の段階で1202万2924人に達し、歯に衣を着せない政府批判で知られていた。

・9月13日、やはりミニブログで1000万人以上のフォロワーを持つ投資家の王功権氏が、公共秩序紊乱罪で逮捕された。かつて「北京の不動産王」と言われた王功権氏もまた、政府を恐れない大胆な風刺詩をネット上に発表することで人気を博していた。

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