ドイツ
CO2排出量の問題から手を放した日本とドイツ。そして温暖化防止がまるで進まないCOPの不毛
〔PHOTO〕gettyimages

困難な状況を説明し、理解を求めるべきだった日本

11月13日、ドイツのニュースでは、日本政府が発表した温暖化ガス削減の新目標のことが槍玉に上がっていた。日本の新目標というのは、2020年までにCO2の排出量を、2005年比で3.8%削減するというものだ。

ドイツのメディアは一斉に、あたかも日本が地球温暖化防止のための努力を投げ出したかのような非難がましい書き方をしている。福島の事故のせいで原発が停止したため、際限なく化石燃料を燃やし、地球の空気を汚している日本というイメージだ。最近は、福島の汚染水を海に垂れ流しているという報道も盛んになされているので、まさに「迷惑国家、日本」の図である。

ドイツメディアは書く。2009年、日本はCO2の排出量を2020年までに、1990年比で25%削減すると言っていたはずなのに、新目標では25%削減どころか、3%増加になってしまうではないかと。

それだけではない。中国までが、「経済発展と気候変動対策の折り合いは付けられるはず。国際社会が足並みをそろえている中で、日本は自らの取り組みについてしっかりと反省すべき」と言ったらしい(レコードチャイナ)。

"1990年比でCO2排出量25%削減"と世界に向かって宣言し、皆をびっくりさせたのは、鳩山元首相だ。鳩山氏は、就任の直後、国連の気候変動首脳会合でこの無謀な宣言をして、各国首脳の喝采を浴びた。本人は嬉しかったのかもしれないが、一国の首相たるものは、実現のめどの付かないことを国際会議で約束してはいけない。あとで国難を招くのがオチだ。

そもそも1990年代、日本企業の省エネ技術は世界一と言ってもよいほど進んでいた。CO2の一人頭の排出量はアメリカの半分以下。また、フランスと比べても、イギリスやドイツと比べても、低かった。特にドイツは、統一で東ドイツを抱えたばかりだったので、日本と比べると25%近くも多くのCO2を排出していた。旧東ドイツ政府には環境保護という観念は無く、老朽工場で褐炭を燃やし続けて、大気汚染は、長い間ひどい社会問題となっていたのだ。

すなわち、ドイツにとって、1990年比での大幅なCO2削減を達成するのは、それほど難しいことではなかった。老朽化した工場をつぶして、新しい物を建てればよかったわけで、それは設備投資でもあり、実際にどしどし実行された。

それに比べて、石油ショックの後、省エネ技術を先鋭化し続けた日本が、1990年比で25%削減するなどということは、ほとんど不可能に近かった。しかも、そのあとに福島原発の事故があり、やがて、日本中の原発が止まってしまったのだから、目標を大幅に修正しなければいけなくなったことは当然だ。日本が地球温暖化の問題を真剣に考えていないわけではない。

ただ、一昨年、あるいは、遅くとも去年の気候変動枠組条約第18回締約国会議(COP18)において、日本はその困難な状況を諸外国にちゃんと説明し、理解を求めるべきだったのだ。「この国際公約を修正しないまま実行せずにいると、いずれ攻撃材料として利用されるような気がしてならない」と、私は去年のこのコラムでも書いたが、それが今、現実になっている。世界には、どんなに日本が困っていても、塩を送ってくれる国などないのだ。

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