被害発生から2年以上が経過、広告代理店「電通」と、同社100%子会社「電通ワークス」が警視庁に相談していたLED照明に絡む架空取引疑惑は、組織犯罪対策4課が、11月8日、容疑の会社などを家宅捜索、解明に向けて動き始めた。
私が、本コラムで「電通、JFE、全農・・・日本有数の巨大組織を飲み込むLED照明の「闇」」と題して記事にしたのは、昨年4月26日のことだった。
取材のきっかけは、電通ワークス、鉄鋼大手・JFEホールディングスの子会社「JFEエンジニアリング」、全農の紙パック部門である「全農ハイパック」といった大手が、12年3月期までにLED照明部門でトラブルを発生させ、撤退を表明、同時に法廷闘争に持ち込んでいたからだ。
取材の過程で、問題の所在は明らかとなった。
省エネブームとともに、「寿命が40倍で消費電力が2分の1」というLED照明の事業化熱が、顧客を大量に抱える大企業に高まった。
そこで子会社を通じて参入するのだが、そこには海千山千のブローカーたちがいて、脇の甘い大企業を、見事に型にハメ、蟻地獄に誘い込んだ。
そんなブローカーの"巣"のひとつを訪れたことがある。ワンフロアに何社もの会社が置かれ、デスクも電話もいっぱいあるのだが、ビジネスを手がけている様子はない。
いずれも、基本的には「蛍光灯の付け替え作業」というLED照明の簡便さを狙った企業群で、会社が多いのは、代理店間を転がす間に口銭を抜くのが目的。
電通もJFEも全農も、取引先の数は莫大でも、LED照明への切り替えを勧める営業は別である。そこに、ブローカーたちが「俺の"顔"でなんとかします」と売り込み、口八丁手八丁で担当を取り込むと、後は、代理店間を転がして口銭を稼ぎ、キャンセルの山を築いた。
なかでも、被害金額が大きかったのが電通ワークスで、JFEと全農が、社内処理と民事訴訟での解決を図ったのに対し、同社は刑事告訴せざるを得なかった。
電通ワークスの商流には、3つの流れがある。