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ITトレンド・セレクト
2013年11月21日(木) 小林 雅一

原発の事故現場など、危険な環境下で作業する汎用ロボットの競技会まで間近

DRCが、こうした高度な汎用ロボットの開発を目指すのは、福島第一原発での教訓に基づいていると言われる。当時、事故現場には国内外から複数の災害対策ロボットが投入されたが、これらロボットの操作には専門の知識・技能が必要とされ、現場の作業員がこれに習熟するまで相当の時間を奪われた。さらに原発建屋の厚い壁によって、ロボットを遠隔操作するための電波が遮られて、思うように操作するのが非常に困難であったとされる。

この問題を解決するには、ロボットに自律的な能力を持たせるしかない。つまり人間が予めロボットに基本的な命令を下した後には、ロボットが事故現場の状況に自分で対応して仕事してくれる、ということだ。たとえば来月の中間競技会では、参加各チームのロボットには次のような課題が与えられる:

①(ロボットが)自分で車を運転して事故現場に辿り着く。
② 現場に散乱した瓦礫などを踏み越え、必要とあれば、それらを押しのけて移動する。
③ 原発建屋のドアを開けて中に入る。
④ 屋内の階段で2階に上り、そこにある通路を移動して作業現場に赴く。
⑤ 道具を使ってコンクリートの壁を壊す。
⑥ ひび割れなどを起こしているパイプを見つけ、その元栓を閉める。
⑦ 故障した装置の部品を交換する。

遠隔操作を妨害してロボットの自律性を養う

この競技会に出場するロボットの多くは、いわゆる「ヒューマノイド(人型ロボット)」だが、他にも四足の動物のような姿をしたもの等、多彩なロボットが出場する。いずれにせよ、これらのロボットが競技会場(米フロリダ州マイアミの自動車レース場)で、上記のような作業に従事する場面を想像すると、ほとんどSFの世界である。

前述の通り、出場するロボットには相当の自律性が備わっているはずだが、今回の中間競技会では、参加チームのオペレーター(つまり人間)が、基本的には無線でロボットを遠隔操作することになっている。

ただし主催者のDARPAが、競技会場でロボット操作用の無線通信の帯域幅を(状況に応じて)意図的に狭める。つまり主催者側が敢えて、人間によるロボットの操作を妨害することによって、ロボットが自分で判断して動かざるを得ない状況を作り出す。そこでロボットの自律性が試され、こうした場面で高いパフォーマンスを示したロボットが高得点を与えられる。

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