ブルーバックス前書き図書館
2013年11月20日(水)

『血液型で分かる なりやすい病気・なりにくい病気』
がん、胃潰瘍、脳梗塞から感染症まで
永田 宏=著

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血液型で病気のリスクが変わる!
胃がんのリスクが高いA型、ピロリ菌に弱いO型
消化器潰瘍、エコノミー症候群、脳梗塞、心筋梗塞、ノロウイルス……
遺伝子レベルで分かってきた驚きの関係!

 血液型を決める遺伝子のはたらきが解明されたのはわずか20年前。以降、分子生物学的な研究と大規模な疫学調査によって、血液型と病気の関係が次々と明らかになってきたました。その最新の成果を紹介します。


はじめに

 血液型と病気に関する最新の研究を紹介する。それが本書の目的です。

 たとえば血液型とがんの関係です。

 あなたは、血液型によってがんの罹りやすさが違ってくる、という話を聞いたことがあるでしょうか。もちろん、誰でも知っているABO式の血液型のことです。それによって、がんに罹る確率が変わってくるというのです。もちろん、あらゆるがんというわけではありません。一部の臓器がんに限った話ですが。

 エコノミー(クラス)症候群になりやすい血液型と、そうでない血液型がある、という話もあります。

 エコノミー症候群についてはご存知のことと思います。飛行機の座席、とりわけエコノミークラスの座席は狭いですよね。最近流行りのLCC(ローコストキャリア)の座席は、従来のエコノミークラスよりもさらに狭くなっています。このような狭い空間に長時間じっとしていると、突然息苦しくなったり胸が痛くなったりすることがあります。これがエコノミー症候群です。正式には肺塞栓症と言って、肺の血管が詰まってしまう病気ですが、最悪の場合、呼吸困難で命を落とすこともあります。そのエコノミー症候群になりやすい血液型と、そうでない血液型があるというのです。

 他にも、ピロリ菌やノロウイルスに狙われやすい血液型がある、という話もあります。

 ピロリ菌は胃炎や胃潰瘍を引き起こす細菌として知られています。また胃がんの原因のひとつにも数えられています。ノロウイルスは胃腸炎を起こす病原体です。毎年冬になると、ノロウイルスによる集団食中毒が全国各地で発生しています。体力の弱ったお年寄りが罹ると、命を落とすことがあります。これらの細菌やウイルスの感染と、血液型が関係しているというのです。

 ここまで書くと、疑いを持たれる方もいるに違いありません。

「どうせ根拠の薄い話に違いない」
「ひょっとして、血液型性格診断の病気版?」
「でも血液型病気診断なんて、ちょっと面白そう」

 いろいろな意見をいただくのは嬉しいかぎりです。

 しかしこれらはすべて、世界中の科学者の間でホットな話題になっていることなのです。血液型性格診断のような怪しいものとは、完全に一線を画しています。

 ABO式血液型が発見されたのは1900年のことでした。その直後からABOをめぐる3つの科学的、文化的潮流が生まれました。それらの流れは世紀を越えて、今日まで脈々と受け継がれています。

 ひとつ目は輸血や臓器移植、親子鑑定などの基礎となる伝統的な血液学です。これは医学の中にしっかりと組み込まれています。

 ふたつ目は血液型性格学ないし血液型性格診断です。

 はじめは西ヨーロッパを中心に、血液型と人種的な特徴が関係しているのではないかという学説が興りました。その時点では科学的仮説として注目を集めました。しかし仮説を支持するデータが集まらなかったため、欧米ではすぐに廃れてしまったのでした。

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