【農林水産 その1】 「農業を成長産業に」 新規参入・大規模化・効率化を促せ!
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「成長戦略」、「規制改革」と叫んでも、岩盤規制の本丸に切り込まなければ、日本経済を成長軌道に戻すことは不可能だ。その本丸の岩盤が、社会保障と労働規制の分野だ。その点は、これまで「100の行動」で再三指摘し、大胆な改革を提言してきた。だが、残された岩盤中の岩盤が、この農業だ。

TPPへの参加は、日本がアジアの成長を取り込んでいくために不可欠だが、TPPの是非を論じる中で、しばしば「製造業の輸出促進の犠牲に、世界とは戦えない日本の農業を切り捨てる」といったような議論がなされる。

だが、この「製造業vs農業」という構図は実は間違いだ。TPPなどの自由貿易・競争自由化で利害対立するのは、「規制で守られた既得権を持つ零細農業従事者vs新規参入者及び農業改革者」だ。つまり、現状でも経営を効率化して世界で戦える農業は、千葉県にある和郷園の様に日本にもあるのだ。

規制で塩漬けにされ弱体化してしまっている日本の農業を力強い成長産業・輸出産業に変えることは、TPPへの参加を待つまでもなく、重要だ。そのためには、農地の集約化・大規模化を行って経営を効率化し、流通改革を行い、輸出戦略を策定・実行することだ。「100の行動」農林水産編で順を追って議論を進めていきたい。

1. 農地法改正を! 「所有者=経営者=耕作者」の基本原則を撤廃せよ!

日本の農政は、小規模生産者保護の思想が基本となっている。これは、戦後GHQ主導の農地改革によって、小作人が解放されたことから始まる。これによって元小作人の零細自作農が大量発生し、日本の零細農業構造の発端となったわけだ。

1952年にGHQの要求で制定した「農地法」は、多くの零細自作農の存在を「維持」しようとするものだった。これは、GHQが保守化した農村を共産主義への防波堤にしようと意図したものだと言われるが、この多数の小地主からなる農村は保守党を支える政治的基盤となった。

このため、55年体制下で自民党は、農業を大規模化して農業の競争力強化を図るよりも、小規模の零細自作農家を維持する政策をとってきたと言われている。現在の政治家がそのような行動原理に基づいているとは思わないが、そういった経緯で作られた「農地法」は基本的な構造から変えるべきであろう。

そもそも農地の所有者と経営者、そして実際に耕作する人間が同じ人である必要はない。しかし、農地法では「所有者=経営者=耕作人」が基本思想だ。本来、これまで病院経営における議論等でも提唱してきたが、経営は経営のプロが行うべきで、農業においてもマーケティングやリスク管理などはその道のプロが行うべきものだ。

だが、農地法では、株式会社による農地の所有を基本的に認めないところからスタートしている。そのために、2009年の農地法改正を経ても、様々な条件付きのリースによる会社の農業参入と、限定された農業生産法人による所有等しか認められていないのだ。

農業を成長産業化するには、小規模生産者の既得権益保護という思想を取り払い、新規参入を促し、農地を集約化して大規模経営と効率化による競争力の強化を目指すことが必要である。

繰り返しになるが、農地法の「所有者=経営者=耕作者」の基本原則を撤廃し、新規参入を促し、土地の流動化、集約化、経営の近代化を促進すべきだ。

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