中卒で世界銀行のコンサルタントに!? 押し寄せる"学歴不問化"の波

2013年11月18日(月) 田村 耕太郎
〔PHOTO〕gettyimages

名門PhDの技能を凌駕する高校中退者

カタールの世界教育改革サミット(WISE)で出会った世界銀行の幹部から面白い話を聞いた。

全額奨学金でシカゴ大学を卒業し、MITでコンピューターサイエンスの修士号を取り、アフリカでIT技術を使った教育支援の陣頭指揮を執っているその世銀の幹部が、「保守的で官僚的な世銀人事も、少なくともIT分野では変わらざるを得ない」というのだ。

世界銀行の採用基準は、よく知られているように、最低でも修士号学位が必要で、PhDが望ましいとされている。しかし、IT分野で最近採用された人物が世界の変化を物語っている。

「最近、面接した若者が最高に面白かった。修士号どころか大学も出ていない。大学どころか高校も中退。つまり中卒だ。しかし、彼はすでにIT関連で二社を立ち上げて、二社目を大手IT起業に売却して一生安泰、というより10回以上人生を安泰に暮らせるくらいの財を築いていた。

そして『私はもうお金の心配をしなくていい。純粋に世界の役に立ちたいから民間企業ではなく、世界銀行で世界の役に立ちたい』と面接で熱く語った」

そう語る世銀の幹部は、その若者を採用したいと思ったが、世界銀行の内規では、中卒を採用できない。そこで、その若者の実力を試してみようと、世銀の技術トップと仕事をしてもらったところ、名門大PhDが「我々のチームで彼の能力に太刀打ちできるものはいない。レベルが違う。チームにプラスになる戦力だ」と言ってきたのだという。




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田村 耕太郎

(たむら・こうたろう) 前参議院議員。エール大学上席研究員、ハーバード大学研究員などを経て、世界で最も多くのノーベル賞受賞者を輩出したシンクタンク「ランド研究所」で唯一の日本人研究員を務めた。
国立シンガポール大学公共政策大学院名誉顧問、新日本海新聞社取締役東京支社長。
1963年生まれ。早稲田大学卒業、慶応義塾大学大学院修了(MBA取得)。デューク大学ロースクール修了(法学修士)、エール大学大学院修了(経済学修士)、オックスフォード大学上級管理者養成プログラム修了、ハーバード大学ケネディスクール危機管理プログラム修了、スタンフォード大学ビジネススクールEコマースプログラム修了、東京大学EMP修了。
2002年から10年まで参議院議員を務めた間、内閣府大臣政務官(経済財政、金融、再チャレンジ担当)、参議院国土交通委員長などを歴任。
シンガポールの国父リー・クアンユー氏との親交を始め、欧米やインドの政治家、富豪、グローバル企業経営者たちに幅広い人脈を持つ。世界の政治、金融、研究の第一線で戦い続けてきた数少ない日本人の一人。
2014年8月、シンガポールにアジアの地政学リスクを分析するシンクタンク「日本戦略情報機構(JII)」を設立。また、国立シンガポール大学(NUS)リー・クワンユー公共政策大学院の兼任教授に就任し、日本の政府関係者やビジネスリーダーに向けたアジア地政学研修を同校教授陣とともに実施する。
著書に『君に、世界との戦い方を教えよう 「グローバルの覇者をめざす教育」の最前線から』などがある。