データを社会に活かすためのヒント
『データを紡いで社会につなぐ』著者・渡邉英徳氏インタビュー

渡邉 英徳

――「ウソをつかないようにしている」とは?

渡邉英徳(わたなべ ひでのり)  1974年生まれ。東京理科大学理工学部建築学科卒業、筑波大学大学院博士後期課程修了。博士(工学)。現在、首都大学東京システムデザイン学部准教授、京都大学地域研究統合情報センター客員准教授。情報デザイン、ネットワークデザイン、Webアートを研究する「情報アーキテクト」として活動。グーグルアースにさまざまな歴史資料とデータを重ね合わせた、新しいかたちのデジタルアーカイブの制作を進めている。「ツバル・ビジュアライゼーション・プロジェクト」「ナガサキ・アーカイブ」「ヒロシマ・アーカイブ」「東日本大震災アーカイブ」など。「沖縄平和学習アーカイブ」では総合監修を担当。 http://labo.wtnv.jp

渡邉 グーグルが手心を加えて、場所をずらしたり、都合の悪いビルを塗りつぶしたりすることも可能でしょうが、いまの仕様だとかえって目立ってしまうので、自浄作用が働いている、その意味で、インターネット上のプラットフォームのあるべき姿をあらわしている気がします。僕たちが歩いている地球をできるだけ忠実に再現しようとしているプラットフォームで、現時点でいちばんよくできているものだと思います。でも、もっとできのいいプラットフォームが出てきたら、たぶん未練なく乗り換えます。いまグーグルアースに載せているデータは、時間と空間の情報をつけただけのものなので、プラットフォームを乗り換えるのは簡単なのです。

――そういえば、本の中では時間・空間情報についても触れられていて、「時空間メタデータは、社会的・政治的な立場とは関わりを持たない、ある意味フラットな、公平なものです」と書かれていますね。

渡邉 そうですね。メタデータとは、データを説明するためのデータという意味です。

 将来、社会や歴史認識がもし大きく変わることがあったとしても、この時空間メタデータが変わることはありません。

 さまざまなデータを、ウソをつかない時空間メタデータにしたがって、仮のもうひとつの地球、いわば「どこにも帰属しない場所」に保管しておく。トップダウンの視点から消そうとしても、簡単にはできないような仕組みにしておく。それが僕たちのつくっているデジタルアーカイブです。そのことによって、すべての資料に特定の重みをつけずに、見る人に自由な解釈の許すかたちで提示していけるのではないでしょうか。そしてそれが、いまの時代において「データを紡いで社会につなぐ」ことになるのではと思うのです。

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