データを社会に活かすためのヒント
『データを紡いで社会につなぐ』著者・渡邉英徳氏インタビュー

渡邉 英徳
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賞は代表して受け取っている気分です

――ところで、渡邉さんのデジタルアーカイブは、最近もNHKの「日本賞」イノベイティブ・メディア部門の優秀作品(「ヒロシマ・アーカイブ」)や、グッドデザイン賞の復興デザイン賞(「東日本大震災アーカイブ」)など、数々の賞を受賞されていますね。

渡邉 おかげさまで、いくつも賞を受けたり、評価をいただくことができました。このことについてですが、数年前、ナガサキ・アーカイブが文化庁メディア芸術祭で推薦作品に選ばれたとき、学生たちと「自分たちが受賞していいのか」ということで、少し議論になりました。

 いろいろ話しましたが、「今回の受賞は、戦後の六十数年間、長崎で原爆の資料収集にあたってきた先達の方々の努力で積み重ねられたものを、私たちが受け取って世に出した『かたちが適切だった』という評価ではないか。だからそれは誇りにしてもよいのではないか」ということに落ち着きました。

 その後も、いくつも賞をいただいてきましたが、そのたびに、僕は同じような受け止め方をしています。遠慮なく「受賞しました」とPRもしますが、いわゆる自己表現としてつくった作品に与えられたのではなく、背景にある長い時間や多くの人を代表して僕が受け取っていますという気分です。

――この本を読んだ人は、「なんだかんだ言っても、著者はグーグルのサービスが大好きなのね」と思われるかもしれません。本の中には、ビッグデータの例として、2歳の息子さんも出てきますね。これまで息子さんの写真を1万3000枚以上撮っていて、それをすべてグーグルアース上にマッピングされている、「息子が行ったことのある場所」がひと目でわかるようになっている、という話です。このエピソードには、微笑ましくも、読んで少しびっくりしました。

渡邉 はい、実際にグーグルのサービスをどっぷり使っているのは、間違いないです(笑)。

 ただ、使っている理由は、「現時点でもっとも自分のやりたいことに適した道具だから」なのです。グーグルアースについて言えば、僕にとってのいちばんの魅力は「ウソをつかないようにしている」ことです。

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