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インサイドレポート 天安門爆発!習近平体制はもうボロボロです
「世界人民大団結万歳!」と唱えた毛沢東も泣いている?〔PHOTO〕gettyimages

死者5人、負傷者40人。白昼の天安門広場で起こった惨事に、習近平総書記が震撼した。そして北京市民は、「ウイグルのテロリストも悪いが習近平も悪い」と語る。中国でいま何が起こっているのか。

国民の怒りが暴発する

「習近平体制は、発足して丸1年になりますが、内部は早くも、ボロボロなんです。それで自信喪失状態に陥っているため、われわれウイグル人を、徹底的に弾圧することによって求心力を高めようとする。本当に恐ろしい末期的政権です」

こう怒りを表すのは、世界ウイグル会議副総裁で、日本ウイグル協会会長のイリハム・マハムティ氏だ。世界ウイグル会議は、ウイグル民族の中国からの分離独立を組織する「亡命政府」である。この組織の総裁で「ウイグル独立の母」と呼ばれるラビア・カーディル女史(米ワシントンに亡命中)は、習近平総書記が「中華民族最大の敵」と公言している。

10月28日昼頃、北京の中心にある天安門広場で起こった自動車爆破テロは、乗っていたウイグル族の実行犯3人を含む5人が死亡、付近を歩いていた観光客ら40人が負傷するという惨事となった。中国中央テレビと中国国営新華社通信は、30日夜になって、北京市公安局が、逃亡中のウイグル族の犯人グループ5人を全員拘束したと伝えた。

ウイグル族は、中国西端の新疆ウイグル自治区に住む、人口約1100万人の少数民族だ。敬虔なイスラム教徒で、中国からの独立志向が強い。そのため長年にわたって、中国政府と対立を繰り返してきた。

マハムティ会長が続ける。

「習近平政権が最近行ってきたわが同胞への弾圧は、とても看過できません。まず、ウイグルに勤務する公安(警察)と武装警察は、パトロール中に怪しいと判断すれば、いつ町でウイグル人を逮捕してもよいという通達を出しました。そのためウイグルの南部では、武装警察の装甲車と軍用ヘリコプターで毎日くまなく街を巡回し、ウイグル人が複数で話しているだけで銃撃したりするのです。

こうした弾圧によって極限まで追い詰められた同胞たちが、今回、その窮状を世間に知らしめるために、自爆テロに及んだと見るべきです」

実際、新疆ウイグル自治区では、習近平総書記が国家主席に就任した今年3月以降、報道されているだけでも、10人以上の死者を出す事件が3度も起こっている。

・4月23日午後1時半頃、新疆ウイグル自治区西端のカシュガル地区で、公安が民家を襲撃し、15人が死亡、8人が拘束された。

・6月26日未明、同自治区首府ウルムチ郊外のルクチュン地区で、住民グループと警官隊が衝突し、35人が死亡した。

・8月20日、カシュガル地区で、公安がウイグル族の集団を襲撃し、少なくとも15人を射殺した。

このように、習近平政権とウイグル族は、まさに一触即発の状態にあるのだ。

そんな中で起こった今回の爆破事件は、白昼に天安門広場で起こったことから、世界に衝撃を与えた。だが同時に、習近平政権をも震撼させたようだ。北京在住ジャーナリストの李大音氏が解説する。

「28日の犯行時、現場から長安街を挟んで南西の真向かいに位置する人民大会堂では、5年に一度の第11回中国女性全国代表大会が開かれていました。習近平総書記以下、中国共産党のトップ7が一堂に会し、『中国の特色ある社会主義の偉大な実践を行っている』という習総書記の自画自賛の言葉が、読み上げられていたのです。

また、現場から長安街を挟んで南東の真向かいに位置するのが公安部です。習総書記は、自己の政権を発足させて以来、北京でデモが続発することに腹を立て、7月末に北京市公安局長をクビにしたばかりでした。それがあろうことか、北京で一番警備の厳しい地区の一角、公安部の本部庁舎前でテロが起こったのです」

つまり今回の事件は、いろんな意味で、習近平総書記のメンツを丸潰しにしたというわけだ。

折しも、11月9日からは、中国共産党の一年に一度の重要会議(3中全会)が開かれる。ここでは、習近平政権の今後の政治運営の指針を示す「施政方針演説」が行われる予定だ。だが今回の事件は、この重要会議にもドロを塗ることとなった。

そのような理由から、中国国内では、中国中央テレビと国営新華社通信、中国共産党機関紙『人民日報』以外のメディアが、この事件について報じることを禁じている。そして、これらの御用メディアは、ウイグルのテロリストたちがいかに極悪非道か、そして中国当局がいかに迅速に、ウイグルのテロ分子を摘発したかを伝えるばかりだ。

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