世界経済 韓国
「講座: ビジネスに役立つ世界経済」
【第25回】 「韓国シフト」論から見えてくるもの

〔PHOTO〕gettyimages

先日、久々に海外投資家と話す機会があった。話題の中心は、「消費税率引き上げ後の日本経済」であった。

日本のマスメディアは、こぞって「ここで消費税率引き上げを決めないと、財政破綻を嫌気した海外投資家が日本売りを仕掛けてくる」と消費税率引き上げの実現を煽ったが、その海外投資家は、逆にデフレ解消前の増税による景気の腰折れを懸念しており、政策当局によるなんらかの政策対応の必要性を主張していた。

彼らが言うには、「消費税率引き上げによる景気への悪影響とその対応策が明確になるまでは、日本株を買えない」ということであった。これが最近の日本株上昇の頭を押さえつけている原因かもしれないと感じた次第である。

韓国経済と日本経済は極めて似通った状況にある

日本の話題はさておき、今や、日本を含むアジア市場全体を一括りで見ている海外投資家にとって、日本に代わる有望な株式の投資先として韓国が急浮上しているという話は筆者にはサプライズであった。本格的な保守政権を標ぼうする自民党安倍政権誕生以降、日本では「嫌韓」ムードが流れている。韓流ブームも沈静化したようだし、韓国政府の安倍政権に対する強硬的な姿勢もそのムードを後押ししているようだ。

このムードに便乗してか、韓国経済の危機や限界を煽る本が売れ筋のようで、書店でも「嫌韓」系の経済書が平積みになっているのを目にする。そのため、普段はそれほど韓国経済に目を向けていない筆者は、円安の動きもあり、てっきり韓国経済は大停滞に陥っているとばかり思っていた。

そこで、韓国の経済データを見てみよう。韓国の7-9月の実質GDP成長率は前期比年率で+4.3%、前期比年率で4%を超えたのは、4-6月期以降、2四半期連続である。また、1-3月期も同+3.4%であった。

この間、アベノミクスで「景気回復途上にある」といわれていた日本の実質GDP成長率を見ると、1-3月期が+4.1%、4-6月期が+3.8%で、韓国と大差はない(7-9月期は12月9日発表予定である)。韓国の回復ぶりをGDPの構成項目で見ると、堅調な個人消費(2%程度の伸び)に加え、政府消費や政府主導のインフラ投資が牽引していることがわかる。

一方、韓国経済の代名詞であるハイテクや自動車を中心とした輸出は一進一退を続けており、回復途上にあるとはとても言えない(9月の貿易統計での輸出金額は前年比-1.5%、1-9月の累計の輸出金額は前年比でわずか+1.5%の増加に過ぎない)。

個人消費に関しては、猛暑などの「特需」が寄与した模様であるが、このほか、生活保護支給者への支援額の引き上げ等の社会政策も効果を上げたようだ。また、朴槿惠(パク・クネ)大統領は10大企業グループのトップを招いての昼食会で雇用創出のための投資拡大を要請した。これは安倍首相が経団連に対して賃上げを要求した点と重なる。

さらに、現在、韓国で最も懸念されているのが、「少子高齢化社会」到来による労働力不足と潜在成長率の低下である。韓国では、2017年から2020年の間に労働力人口が減少に転じると予想されており、このような状況下での貧富の格差などの社会問題が「構造問題」として強く認識されている。だが、その割にはその解決に向けた抜本策は見出されていない。

このように韓国景気の現状を整理すると、日本のそれと極めてよく似ていることがわかる。日本経済の回復を牽引してきたのも、高額商品を中心とする個人消費と公共事業を中心とする政府支出の拡大であった。つまり、客観的に経済指標をみると、韓国経済と日本経済は極めて似通った状況にあるということだ。

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