国民負担の増大がとまらない!廃炉と汚染水処理「公共事業的観点」で「加速化」の"罠"
[Photo] Bloomberg via Getty Images

 東京電力の福島第一原子力発電所の事故に関し、「政府が前面に出る廃炉・汚染水」対策に続いて、先週(11月5日)、政府・自民党が「除染・中間貯蔵施設の加速」を打ち出した。

 周辺住民の生活再建の立ち遅れが目立つ中で、半永久的に帰宅できない地域が存在する事実を隠そうとして無駄な除染を続けるという民主党政権時代の誤った政策を正すのは、筆者も繰り返し求めてきたことだ。
 それを軌道修正するのならば筋の通った判断で、むしろ遅すぎたぐらいである。

修正案に潜む歓迎できない罠

 ところが、いかにも自民党政権だ。修正策に、手放しで歓迎できない罠が潜んでいる。
 というのは、東電が負担するはずだった費用を「公共事業的観点から検討」「国が負担」などとしているのだ。
 要するに、新たな土木業界へのばら撒きを国民負担でやろうという本音が透けて見えるのである。しかも、肝心の問題点に大胆なメスが入ったとは言い難い。

 大切なのは、被災者の生活再建を加速することであり、ばら撒きを拡大することではない。政府・自民党には、電気料金であれ、税金であれ、いたずらに国民負担を増やさないと確約してほしい。

 民主党政権がポピュリズムとしかいいようのない除染を打ち出した直後から、筆者は本コラムで繰り返し、「復旧・復興」に名を借りた無駄遣いになると警鐘を鳴らしてきた。
 2011年10月18日付の 『問題はIAEAが警告した「除染」だけか? 「破たん」へひた走る民主党政権の電力政策』は、その最初のものである。  

 簡単に言えば、民主党政権の最大の問題は、福島第1原発周辺の除染の目標を「5ミリシーベルト以下」(健康被害の懸念がないとされる水準)ではなくて、「1ミリシーベルト以下」(事故がまったくなかった時の状態)としたことだ。

 この目標は、当時から国際原子力機関(IAEA)の調査団が無駄遣いとみなす内容だった。
 にもかかわらず、原発事故の収束を所管した細野豪志内閣府特命担当大臣が思いつきのように打ち出した。
 結果的に、深刻な事故を引き起こした責任を政府や東電が免れる効果を生じた。

 実際には、福島第一原発の周囲にはいくらおカネをかけても生活できるレベルまで除染するのは困難な地域が少なくない。
 それなのに、いずれ帰宅できるかのような幻想を振り捲いて除染を続けることは、単に国民負担を増大させるだけでなく、被災者が他の土地に移住して生活を再建するという決断を下す妨げにもなった。

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