工藤泰志 言論のNPO
「東京-北京フォーラム」は何を果たそうとしているのか?

工藤泰志(特定非営利活動法人言論NPO代表)
※この原稿は「ON THE WAY ジャーナル MONDAY 工藤泰志 言論のNPO」10月放送分を書き起こしたものです。書き起こしにあたっては、読みやすくするために必要最低限の編集を行っています。

秋も深まり、過ごしやすい季節となってまいりました。さて、言論NPOは来週10月25日から「第9回 東京-北京フォーラム」という大きな対話を北京で開催します。現在、日中間の政府間外交が停止している状況の中で、民間対話であるこのフォーラムは、日中両国だけでなく、世界中から注目されています。

ということで、本日のON THE WAYジャーナル「言論のNPO」では、私が今回の「東京-北京フォーラム」をどのように行おうとしているのか、そしてこのフォーラムが何を果たそうとしているのか、ということについて皆さんと考えてみたいと思います。

「第9回東京-北京フォーラム」で実現したいこと

さて、この収録はフォーラム直前ということで、最終準備で毎日徹夜が続いている状況です。もともと8月12日に開催する予定だったのですが、中国側からフォーラムの延期を要請された結果、私たちは準備を変更せざるをえませんでした。

この「東京-北京フォーラム」は、民間の「対話の力」で、日中両国、更にはアジアの課題を克服しようということで9年前に誕生した対話です。ですから、政府間関係の悪化の影響を受けて開催が延期されることは、フォーラム自体の存在が問われているようなもので、非常にショックを受けました。

一時は延期に加えて、開催も危ぶまれましたが、私は猛烈に提案し、「なんとしてもこの対話をやりたい」と、ずっと中国側に働きかけていました。そして、ようやく9月下旬になって10月の開催が最終的に決断されました。

その決断が下されたことで私も北京に行き、中国政府やメディア関係者など、いろいろな人たちと話をしましたが、皆さんとても神経質でした。この対話そのものが国民の感情悪化で開催できなくなるのではないか、ということを非常に気にしていたからです。しかし、私はまず対話をすべきだと押し切って10月開催を実現するに至ったわけです。

ON THE WAY ジャーナル MONDAY
工藤泰志 言論のNPO

パーソナリティ:工藤泰志

日本の主要課題について、建設的な議論や対案を提案できる言論の舞台を非営利でつくるために活動を始めた認定NPO法人「言論NPO」代表の工藤泰志が、リスナーに日本や世界が直面する課題を提示します。番組を通じて、その課題についての解決方法を皆さんと一緒に考えていきます!

準備期間が3週間ほどしかなかったため、パネリストの選定などは本当に大変です。その上、フォーラムを開催する以上、民間レベルで「北京コンセンサス」という合意をなんとしても実現したいと考え、今、水面下で動いています。政府間の対話が実現できていない、政府間交渉が行き詰まっている状況の中、「日中両国関係において何を実現するのか」という本質的な問いに合意することがそもそも難しくなっているのです。

現在、「北京コンセンサス」に向けて様々な議論が水面下で行われたり、さまざまなところから「コンセンサスはやめるべきではないか」という声が挙がったりしています。先日も深夜までこの議論をしていました。しかし、私はまだあきらめていませんし、なんとしてもこの合意を実現しようと思っています。

私は、この民間対話というものが、政府間の外交を完全に補完できるとは思っていません。やはり、あくまでも政府間の対話が基本だと思っています。しかし、現在、政府間対話が行われていない背景には、国民感情が非常に影響していることが挙げられ、今後も事態がエスカレートする可能性が非常に高いのです。

このような中では自国民が納得できるような交渉の大義名分をつくりきれず、政府間対話が動かないという状況になっているのが現状です。そういうことであれば、政府間交渉ができるような環境づくりを誰かがしなければならないわけです。それに対し、「よし、やってみよう」と声を挙げたのが私たちの「東京-北京フォーラム」なのです。

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