海外就職研究家/森山たつをさん【第3回】
「どんどん海外に行ってほしい。ネットで分かった気でいちゃダメですね」

[左]米田智彦さん(フリーエディター)、[右]森山たつをさん(海外就職研究家)

【第2回】はこちらをご覧ください。

現地に住んで現地の人と密に接して、現地の人を理解する

米田: ところで、先日、ある経営者の方と話した際、タイの会社とLINEで仕事の進捗管理をしていて、「すごく安心できる」と言っていたのが印象深かったんです。LINEでメッセージを送って、相手が確認すると「既読」となるから、リアルタイムで何らかの返事はあるそうなんですよ。それまでは、仕事の報告がいい加減で、不安でしょうがなかったっておっしゃってました。

森山: 僕もタイ人と仕事をしていたんですが、相手が嫌になるまで何度も電話しましたね。それが僕の編み出したマネージメント法です。連絡してもにこやかに話をして、別にその場で怒らない。「あ、まだやってないんだ。明日までにやっておいてね。また電話するね」と1日3回くらいかける。仕事をやらないと電話がどんどんかかってくるのでやらざるを得ない。相手が気持ち悪いと思うまで連絡するというのが有効な手段でした。

米田: 確かにLINEってリアルタイムにグローバルなプロジェクトを管理するには適しているんでしょうね。でも僕にとって、LINEの「既読」ってはっきり言ってハラスメントですよ! 「既読になっているのに返事がない」って怒られたりしません? 昔の会社の同僚とか、同級生とか次々出てくるじゃないですか。もう何年も会ってないから顔も名前も覚えてないのに「どうも!久しぶり」とか声をかけられて「誰でしたっけ?」と尋ねると「ひどいですね」って返事が来たりね(苦笑)。LINEは、管理される立場になるとたまったもんじゃない(笑)。

森山: だから、僕は、LINEのIDを誰にも教えてないですし、申請が来ても絶対承認しないですね(笑)。でも、LINEがすごいのは、東南アジアどこに行っても、携帯電話売り場に行くとLINEのクマのイラストがあるということです。インドネシアってイスラム教なので、ちゃんとラマダン対応のスタンプがある。

米田: じゃあ、あの白ウサギや金髪ロン毛のお兄さんが断食して倒れてたりするんですか。

森山: 熊がお腹空かせているとか、ラマダンが終わってお粥みたいなスープを食べている、とかね。そのスタンプは現地じゃないとダウンロードできないんですよ。ちゃんと各国対応したスタンプもLINEはつくっている。LINEって資本は韓国ですが、日本の技術者がつくっていて、商品は世界に出していて、現地カスタマイズして現地の人に使ってもらっている。

米田: やっぱり、現地のことを肌で知らないと作れない。

森山: ラマダンって宗教儀式だから聖なるものだけど、現地の人だってつらいとかお腹空いたとか、日常生活ではそういうふうに感じるわけですよ。日本にいると、ふざけたり、かわいい表現をしたらいけないと勝手に思いがちなんですが、「この人達もつらいとか眠いとか軽く言い合いたいんだろうなあ。だったら、うちのツールで気軽なコミュニケーションしてもらおう」と、現地の人がスタンプを作ったんだと思うんです。海外で日本の製品を売るんだったら、現地に住んで現地の人と密に接して、彼らがどんなものが受け入れられるか、理解して感じて、売ってみることですよ。

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