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巻頭特別レポート 消費増税はコンクリートと公務員にこうして食い尽くされる

ああ、土建政治が 帰ってきた

すでに10兆円が公共事業にぶち込まれ、はしゃぐ業界は自民党本部に陳情の列をなす。どこかで見た風景が戻ってきた。血税が次々に食われるおぞましい実態。われわれ国民は、完全になめられている。

カネに色はないから

東京・霞が関。財務省の4階にある第3特別会議室に、マーケット関係者たちが集結した。10月のとある日のことである。

この日集まったのは、いずれも大手証券会社、銀行などに所属する「国債のプロ」たち。財務省、日銀と民間の専門家たちが、日本経済や財政、国債の現状について話し合う、『国の債務管理の在り方に関する懇談会』が開催されていた。

古川禎久財務副大臣の挨拶から始まり、財務省理財局、主計局が国債や財政の近況を報告した後のこと。メンバーたちの意見交換の段に入ると、「危機」を案じる意見が次々と飛び出した。

「そもそも債券市場は、例えば政府が間違った政策を出したときに、鏡のような存在でノーを突きつけるもの。だが、ここのところの債券市場を見ると今の日本の経済状況や財政問題などを反映していないということがとても気になる」

「本来、財政が悪化すれば金利が上がるというメカニズムが働くべきだが、この機能が脆弱化している」

1000兆円の借金を抱える日本は、先進国最悪レベルの財政問題を抱えている。しかし、昨年来のアベノミクスによる「異次元緩和」でマーケットが〝異常状態〟に入り、日本の財政危機へのアラーム(警告)機能を果たせなくなっている。そうした事態を危惧する声が続出したのだ。

「我が国の財政が危うい」

「国の財政状況はますます厳しいものになっている」

さらに会議では、日本の財政問題が一向に解決しないことへの焦りを滲ませる声が噴出。実質財政破綻したギリシャを引き合いに出して、「(日本も)早くプライマリーバランス(基礎的財政収支)を収束させないと、2015年や2020年では間に合わない可能性もある」などと過激な発言も飛び出したのだ。

いよいよ来年4月から消費税の増税が始まり、財政再建への大きな一歩が始まる。それなのにマーケット関係者が「悲観論」に染まっているのには、確かな理由がある。

「消費増税がコンクリートと公務員に食い尽くされそうだからです。本来であれば増税分はすべて社会保障のために使われるはずですが、カネに色はないとして、増税分で膨らむ『国の財布』が公共事業と公務員の利権拡大にぶち込まれようとしています。実際、霞が関の各省庁はすでに予算の分捕り合戦を始めています」(大手外資系証券幹部)

証拠がある。各省庁がこういう政策をやりたいからいくら必要だという希望枠を列挙し、財務省に提出する「概算要求」がそれ。消費税増税が始まる来年度の概算要求を見ると、空いた口が塞がらない分捕り合戦ぶりがありありと浮かび上がってくるのだ。

「たとえば国土交通省が出した概算要求では、新幹線整備費を4年ぶりに増額、民主党時代に凍結された八ッ場ダムの本体工事費要求を5年ぶりに復活させるなど、公共事業に前のめりなのが明らか。

同じく農林水産省も農業農村整備事業、森林整備事業という公共事業に合計4500億円の予算を要求しているが、これは今年度より770億円も多い金額です」(前出・証券幹部)

それだけではない。

自治体の婚活(結婚支援)事業支援に6000万円、豊かな人間性をはぐくむための食育研究に4000万円、原子力に関する情報発信に1億7800万円……。内閣府の概算要求には、「?」な要求がズラリと並ぶ。

日本の財政状況を考えれば、1円でも無駄を削って、限られた血税を最大限国民のために投入するのが筋。それなのに、各省庁は少しでも「利権」を拡大させようと、不要不急の予算までをこれでもかと忍び込ませているのだ。元内閣官房参与の五十嵐敬喜・法政大学教授が言う。

「予想された最悪の事態が起きているということです。というのも、実は消費税増税法案には『附則』という形でこっそりと、増税分を公共事業などに流用してもいいという条項が入れられているのです。

政治家はそんなことは一言も国民に説明しませんが、消費税が10%になれば10兆円ほどが新しく国庫に入る見込みで、合法的にこれを公共事業などにぶち込める。消費税増税で喜ぶのは族議員と、利権拡大をもくろむ公務員ということです。本来社会保障に使われるものと思っていた国民を裏切る、『国家的詐欺』がいままさに行われようとしているのです」

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