公正・公平に受信者の利益を考える「みなさまのNHK」をお題目にしてはならない!

NHKが受信料で成り立っている公共放送なのはご存知の通り。国営放送と勘違いしている人を稀に見受けるが、それはNHKにとっても名誉なことではない。

共産圏、あるいは独裁国家などの国営放送は、往々にして国の都合の良い内容に偏り、信用ならないからだ。他国も国営放送の内容は眉に唾をして受け止める。そもそもNHKは国費で運営されているわけではない。

政府・与党の影響を受けやすいNHK経営委員の人事

けれど、NHKが公共放送の形態を守り続けるのは、そう簡単なことではないようだ。朝日新聞の天声人語は11月2日付で、こう心配している。

「『みなさまのNHK』が『あべさまのNHK』にならないか」(11月2日付)。

NHKの新任経営委員の人事案が、安倍晋三首相に近いとされる人たちになったことを受けた記事である。

毎日新聞も同じ日の社説で、この件を書いた。

「NHK経営委員 限度超えた安倍カラー 政府はNHK経営委員5人の国会同意人事案を衆参両院に提示したが、新任4人はいずれも安倍晋三首相と近い(1人は再任)。政権の思惑が露骨な人事とみられる。来年1月には松本正之会長の任期が満了し、後任人事が注目される。権力に距離を置いてこそ、公正で公平な公共放送の役目を担えるはずだ(以下略)」

その人事案は11月8日の衆参両院で可決された。

本コラムでも2012年9月13日付で書いたことがあるが、NHKの経営委員の選び方は分かりにくい。委員たちは受信者の代表として、会長の決定権などの強い権限が与えられているが、その人選には受信者の意志が反映されず、どういう基準や経緯で選ばれるのかが不透明だ。ときの政府・与党の影響を受けやすく、その気になれば、思い通りに出来ると言っても過言ではない。

NHKの場合、経営委員の中で選ばれる経営委員会委員長がCEO(最高経営責任者)であり、会長はCOO(最高執行責任者)。つまり、NHKという組織はCEOもCOOも出資者である受信者とは離れたところで選ばれてしまう。それでも公平・公正な放送がなされていれば問題ないのだろうが、実際のところ、どうだろう?

受信者を最優先に考えた公共放送であるのなら、安倍政権下に限らず、やはり政府・与党から距離を置いた放送局であるべきだろう。ときには政府・与党にさえも厳しい判断を下す司法機関のように。そもそも税金と受信料はぜんぜん異質なのだし、放送法もNHKの役割について、「公共の福祉のために」と定めている。

第一、自民党は2012年12月の総選挙で79%もの議席を得たが、得票率は43%で半数以下に過ぎず、NHK受信者のすべてが自民党支持者というわけではない。自民党に一票を投じた人でさえ、NHKについて全面委任したのではないのではないか。もちろん、NHKが野党に肩入れしても困る。

間違ってもらっては困るが、不偏不党であることは願望や理想などではなく、放送法で定められたこと。公共放送はあくまで公平・公正に受信者の利益を考えなくてはならないのだ。

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