「講座: ビジネスに役立つ世界経済」
【第24回】 イギリス経済回復の理由を考える

〔PHOTO〕gettyimages

イギリス経済は低迷していると考えざるを得ない

筆者が考えるイギリス経済の現況については、約1ヵ月前に「第20回 日本経済に先行するイギリス経済?」で言及した。筆者は、イギリス経済について、それほどポジティブな評価をしていなかった。

前回から1ヵ月が経過した現時点で、イギリスを含むヨーロッパの経済指標の中には景気の底打ちから回復を示す指標が多く発表され、ヨーロッパ経済全体の景気回復がみえてきた、というのがマーケットコンセンサスとなっており、各種メディアもそれを報道している。だが、米国の量的緩和解除の議論からも明らかなように、マーケットコンセンサスを形成している主に投資銀行のエコノミストたちの経済の見方は極めて近視眼的であてにならないと考えている。

彼らが注目するのは、経済指標の実現値と自らの予想値の平均(市場コンサンサス)のギャップ(これを「サプライズ」という)であり、これが「ネガティブ」(すなわち、市場コンセンサスよりも実現値が悪かった場合)であれば、市場は一気に景気の悪化を織り込みにいくし、「ポジティブ」であれば、市場は一気に景気回復(もしくは過熱)を織り込みに行く傾向が強まっているように思える。

問題は、エコノミストの経済指標の予測値が極めて「いい加減」に作られており、市場コンセンサスとのギャップは月毎に大きく揺れ動く点である。そのため、マーケットのマクロ経済の見方は極めて短期に「右往左往」する。

話が長くなったが、本題に戻ると、最近の比較的好調な経済指標の発表にもかかわらず、筆者のイギリス経済についての中長期な評価は変わらない。最近の回復は、資産価格の動向に依存しており、その資産価格を決めている金融政策スタンスが不安定なためである。

メディアではあまり伝えられないが、イギリスの実体経済指標はそれほどよくない。例えば、6月に一旦は前年比プラスに転じた鉱工業生産指数は8月時点で前年比-1.4%と再び前年比マイナスで推移している。設備投資も冴えない。もっとも、イギリスはもはや「世界の工場」ではないので、経済を牽引しているのは、製造業ではなく、サービス産業であるという見方もあろう。

サービス業の業況をみるのは難しいが、過去、イギリス経済が好況の局面で、増加率が高かったサービス輸出をみると、8月時点で前年比-0.6%とまったく冴えない。これでは、イギリス経済は低迷していると考えざるを得ない。

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