防衛・安全保障

米NSAによる空前の監視体制: 世界各国で危機感が募らないのはなぜか?

10月26日、ワシントンDC。NSAの監視活動に抗議する人々〔PHOTO〕gettyimages

先週、米主要紙がNSA(米国家安全保障局)の世界的監視システムに関する続報を立て続けに流した。

"NSA infiltrates links to Yahoo, Google data centers worldwide, Snowden documents say" The Washington Post, October 31, 2013

●"No Morsel Too Minuscule for All-Consuming N.S.A." The New York Times, November 2, 2013

●"Documents Show N.S.A. Efforts to Spy on Both Enemies and Allies" The New York Times, November 2, 2013

まずワシントン・ポストによれば、NSAはグーグルとヤフーの海外データセンターに不正アクセスし、いわゆる「メタ・データ」と呼ばれる送・受信者情報や文書、音声、映像などのデータを、無断で大量に入手していた。その量は今年1月の時点で、1ヵ月間に約1億8000万件に上っていたという。

一方、ニューヨーク・タイムズによれば、NSAの監視対象リストには、イランや北朝鮮、キューバのような米国にとっての敵国ばかりでなく、フランス、ドイツ、日本、ブラジルのような同盟国も含まれている。特にフランスやドイツなどには「外交上の優位性」、日本やブラジルなどに対しては「経済上の優位性」を確保するために、そうした通信傍受活動をしているのだという。

〔PHOTO〕gettyimages

NSAに監視されるのは重要国の証?

いずれも例によって、エドワード・スノーデン氏が持ち出した内部文書に基づいている。今年夏場以来、これに関する報道はあまりにも多く、最早、どこの国の首脳も表向きは遺憾の意を表しているが、実際には「慣れっこ」になってしまった感がある。それを敏感に感じ取っているのか、米政府高官の中には「ここまでくると、むしろ米国の監視対象に含まれない国の首脳が気分を害するのではないか」と冗談半分に言う人もいるという。

これとは対照的に、グーグルやフェイスブックなど米IT企業の経営者はカンカンに怒っているという。それもそのはずだ。先に発覚した監視プログラム「Prism」では、極めて強引な形とは言え、NSAはとにもかくにも司法手続きを経た上で、米IT企業にデータの提供を要請した。これに対し、今回発覚した「Muscular」の場合、NSAは秘密裡に米IT企業の通信網に侵入して、情報を盗み出している。

これら企業の経営者にしてみれば、「母国の政府に裏切られた」という思いに駆られるのはやむを得ない。実際、グーグルCEOのラリー・ページ氏は、オバマ大統領から招待された(恐らくは機嫌直しの)懇談会に、自分ではなく部下を送ったという。これでは一体、どっちが大統領だか分からない。またフェイスブックCEOのマーク・ザッカーバーグ氏は、公の席で「米政府は僕達の努力を台無しにした(The government blew it!)」と怒りを露わにしたという。

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