特定秘密保護法の対象は現段階で40万件と霞が関 いったいどこまでが「秘密」なのか

 霞が関の中堅幹部と話していたら、最近、省内での情報管理が一段と厳しくなったとボヤいていた。直接担当ではなくても、自分の分野に関連性のある外交案件などは山ほどある。これまでは同期入省の同僚に電話して情報収集するのが常だったが、最近は「その話は」と口ごもられることが増えたという。

 安倍内閣が公務員の秘密漏洩の罰則強化を盛り込んだ「特定秘密保護法案」を国会に提出したことと無関係ではないだろう、とこの幹部は話す。穿った見方をすれば、このタイミングで情報漏えいの「事件」が発覚すれば、法案成立の後押しになる。
 そんな人身御供が自分の配下から出てはたまらないと事務次官や局長が「護身」に回っている可能性もある、というのだ。

曖昧な「特定秘密」の定義

 この法案の問題点は多くの識者に指摘されているが、最も危険なのは「特定秘密」の定義が曖昧なことだ。
 法律案では、「防衛」「外交」「外国の利益を図る目的で行われる安全脅威活動の防止」「テロ活動防止」を対象として掲げ、「漏えいが我が国の安全保障に著しく支障を与えるおそれがあるため、特に秘匿することが必要な未公開の情報」を「特定秘密」として行政機関の長が指定することになっている。

 だが、「安全保障に著しく支障を与えるおそれ」というのはどういう状況なのか、どこまでが著しくないのか、など明確な線引きが法律では明らかでない。行政機関の長、つまり大臣が指定したものが自動的にすべて「特定秘密」となってしまう可能性が懸念されているのだ。

 実際、何でも「マル秘」扱いにしようとするのは霞が関の性癖といえる。

 官僚にとって、情報を独占することは規制権限を手にすることと同義だからだ。霞が関の裁量でどんどん「特定秘密」の範囲が拡大し歯止めがきかなくなる懸念はぬぐえない。

 これは官僚・政治家とマスコミ・民間人の間での情報のやり取りだけに留まらない。冒頭の中堅幹部が感じ始めているように、霞が関内での情報交換が齟齬をきたすことになりかねないのだ。秘密の範囲が広ければ広いほど、「漏洩」に該当するリスクが高まるわけで、「危ないから何も話さない」というメンタリティに官僚を変えてしまうことは容易に想像が付く。

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