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現実の世界に半沢直樹はいない!あの「雅叙園」にまたまたのめり込んで大火傷したみずほ銀行と『行人坂の魔物』

「半沢直樹」より面白い!!

こんな帯を編集者がつけてくれた筆者の近著が先週後半から書店に並び始めた。みずほ銀行の問題融資を扱ったノンフィクション『行人坂の魔物 みずほ銀行とハゲタカ・ファンドに取り憑いた「呪縛」』(講談社刊)である。ちょっと面はゆいコピーだが、出だしの反響は大きく、発売翌日には「一気に読んだ」とか「確かに半沢直樹より面白いよ」という感想を伝えてくれた読者も少なくなかった。

本当に面白いかどうかは、一人一人の読者がそれぞれの好き嫌いに照らして判断していただきたい。

ここで筆者が指摘しておきたいのは、二つの物語の決定的な違いだ。拙著は事実・現実を記録したノンフィクションであり、この世界では、手段を選ばずに理不尽な権力に報復する半沢直樹のようなスーパーヒーローは存在しないのである。

最初はガセネタだと思った

半沢直樹がいないリアルの世界では、メガバンクやハゲタカ・ファンドはやりたい放題だ。舞台が江戸時代からの因縁の地であることも、過去に巨額の不良債権を出した地であることもお構いなしに、利益のために地元のコミュニティを踏みにじっていく。食い物にされた老舗企業の経営者たちの末路は哀れだ。

このリアルの世界で、みずほ銀行とハゲタカ・ファンドに立ち向かうことになった実在の人物、西村裕二細川ホールディングス社長の武器は、プロの知恵と人脈の二つだけである。そして、西村社長はいくつもの勝利を収めた。が、それでもメガバンクとの闘いは、いまも続いている。

自分の作品の宣伝をするようで気がひけるが、本サイト(現代ビジネス)編集部から是非にという依頼を受けたので、今週は、あえて、拙著に書かなかった秘話も含めて事実の一部を明らかにしたい。


本書を執筆するきっかけになった情報を筆者が初めて耳にしたのは、2012年の夏のことである。それは、ハゲタカ・ファンドのローンスターが進める目黒雅叙園の再開発に絡んで、メガバンクの一角を占めるみずほ銀行が巨額の不良債権を抱え込んでいるという内容だった。

正直、この話を聞いたとき、筆者は自分の耳を疑った。もっとはっきり言えば、ガセネタではないかと思ったのだ。

というのは、この地は、メガバンクが過去に何度も巨額の不良債権を出した因縁の土地だからである。バブル期の前後には、筆者も新聞記者として継続的な取材の対象にしていた場所である。

しかも、みずほ銀行の前身の一つである富士銀行は、この地で致命的な失態を犯した銀行の一つだ。それは、コスモポリタン事件、イトマン・住銀事件、目黒雅叙園の経営破綻劇など昭和のビジネス界を揺るがした経済事件に絡んで発生したものだった。中には、後始末がみずほ銀行の誕生後にずれ込んだ事件もあった。

それゆえ、まさか、あそこで不良債権化するような融資をするほど、みずほ銀行がいい加減なはずはないと直感的に思ったのだ。

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