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特別レポート 当事者能力ゼロ、もはや時間の問題 そのとき何が起きるのか東電破綻 メガバンクが貸した2.1兆円はパー、4.4兆円社債も紙クズに
〔PHOTO〕gettyimages

東京電力は瀕死の巨象だ。延命装置を外せば、巨象は倒れる。それは原子力ムラの無責任体質に切り込む改革の始まりか、日本経済を奈落に落とす劇薬か。ゲームセットの笛が、まもなく吹かれる。

覚悟を決める時が来た

止まらない汚染水漏れ、遅々として進まない除染、混乱続きの賠償問題……。かつて「財界の王」として君臨していた存在感は見る影もなく、東京電力が末期的な〝機能不全〟にもがき苦しんでいる。

国が1兆円の〝カンフル剤〟を注入して東電を実質国有化してから、もうすぐ1年3ヵ月が過ぎようとしている。しかし、事態がなんら好転せず、むしろ悪化するばかりなのは、汚染水問題への杜撰な対応の数々を見ても明らかである。

傷だらけの東電に、同情する向きはもういない。いますぐ破綻処理せよと、東電に最後通牒を突きつける声は日増しに大きくなっている。国会の場や大手メディアで東電破綻が公然と語られ始めたのが、「最終ステージ」に入ったことを物語る。東電問題に詳しい弁護士の久保利英明氏が言う。

「今は汚染水が騒がれていますが、今後もまだまだ問題がたくさん出てくるでしょう。それを東電だけで解決できるわけがありませんし、福島第一原発事故直後のあのちぐはぐな対応を見ていれば、この会社に責任能力がないのは明白です。

ですから私は、最初から東電を法的整理すべきだと主張してきました。今でも遅すぎるということはありません。即刻、法的整理に踏み切るべきです。国は覚悟を決めて、救済は国の責務だということを踏まえてやる。国が賠償を担わないで、東電だけで被災者を救済することはできません」

10月23日、東電は福島第一原発の排水溝の水から、超高濃度の放射性物質が検出されたと発表した。一部が海に流れ込んだ可能性があり、汚染水が「コントロール」されていない実態が再び明らかになった。

当事者能力を失い迷走を続ける東電の経営陣に、投資家たちも愛想を尽かし、我先にと東電株からの脱出を始めている。前述の放射性物質検出の件が報道で流れた際にも、マーケットに東電株への売り注文がなだれ込んだ。

「福島第一原発には地下水が流れ込んでおり、汚染水がこれからも大量に生産されてしまうことは明らかです。汚染水問題や除染、廃炉などに対する東電の対応は限界にきている。そうした対応への財政的負担も不透明化する中にあっては、東電を破綻処理したほうがいい。破綻処理によって生じる問題もありますが、一刻も早く国が判断するべきでしょう」(元財務官僚の小黒一正・法政大学准教授)

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