モンゴル大統領の北朝鮮訪問は日本から見ると空振りに終わった
モンゴルのエルベグドルジ大統領 [Photo] Bloomberg via Getty Images

 大山鳴動、鼠ゼロ匹だった---。
 日朝関係者が固唾を呑んで注目していたモンゴルのエルベグドルジ大統領の北朝鮮訪問(10月28日~31日)のことである。日本人拉致問題解決に向けて具体的な進展があるのではないかと期待する向きが少なくなかったのだ。

 エルベグドルジ大統領がピョンヤン滞在中、北朝鮮の最高指導者、金正恩労働党第1書記と会談し、拉致問題について言及される可能性があると見られていた。

 だが、モンゴル、北朝鮮両首脳の会談そのものが行われなかった。
 そもそもエルベグドルジ大統領の北朝鮮訪問の招待者は、建前上の国家元首である金永南最高人民会議常任委員長(労働党内序列2位)である。

モンゴル・北朝鮮首脳会談と日本人拉致問題の関係性

 実は、2004年12月に当時のバガバンディ・モンゴル大統領が、やはり金永南最高人民会議常任委員長の招待で訪朝している。
 ところが、当時の最高指導者、金正日労働党総書記(国防委員長)との会談は実現していない。従って、今回も金正恩氏が登場しなかったからといって、先例を踏襲しただけという説明は成り立つ。

 しかし、今年はモンゴルと北朝鮮の国交樹立65年の節目であるだけでなく、中国とロシアという超大国に挟まれた両国は最近、急速に経済交流強化に乗り出し、例えばモンゴルは北朝鮮北東部の豆満江流域開発に参加している。
 具体的には、豆満江河口日本海側の羅津港のインフラ整備を通じて、モンゴル産の石炭など鉱物資源を海外に輸出するプロジェクトである。その「海外」にはもちろん、日本が含まれている。

 それではなぜ、日本人拉致問題解決とモンゴル・北朝鮮首脳会談に関連があるのか。

 9月11~14日、モンゴルのアルタンホヤグ首相が公式実務訪問賓客として日本を訪れた。そして13日夕、安倍晋三首相は首相官邸でアルタンホヤグ首相と会談した。注目すべきは、同首脳会談で両国が、今後、米国を含めた3ヶ国で拉致問題解決に向けて実務者協議を定期的に開催することで合意したことだ。
 当時、日本のメディアは共同通信社以外、この合意について報じていない。

 同月末、外交プロトコール上、異例の首脳会談が行われた。
 29日夕、「私的訪日」したエルベグドルジ大統領が安倍首相の東京・富ヶ谷の私邸を訪れたのだ。過去、中曽根康弘首相(当時)が東京都下の自分の別荘「日の出山荘」にレーガン米大統領夫妻を招待したことがあった。

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