経済の死角

地域のつながりで循環する「腐る経済」へ
~岡山県の過疎の町、「田舎のパン屋」が起こす「静かな革命」~

2013年11月06日(水) 現代ビジネス編集部
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「パン屋タルマーリー」のみなさん〔PHOTO:片岡杏子〕

「自然界のあらゆるものは腐るのに、この世でお金だけが腐らない」

モモ』で知られるドイツのファンタジー作家ミヒャエル・エンデは、『エンデの遺言』(NHK出版)の中で、そう語り、現代の金融システムが引き起こす弊害に警鐘を鳴らした。

お金だけが、あらゆるものがいずれは「腐る」自然界の摂理から外れている。いつまでも減らないばかりか、利潤や利子でどこまでも膨らんでいく。そのおかしさが、環境問題や経済恐慌など、資本主義の負の側面を引き起こしているのではないか---と。

そして、「腐らないお金」が支配するマネー資本主義の矛盾を克服する手段として、エンデは「地域通貨」に注目した。「地域通貨」とは、「腐らないお金」と切り離された、その地域でしか使えない独自の通貨のこと。それによって地域の経済循環をつくり出し、地域の力で地域を豊かにすることが「地域通貨」の理念だ。

田舎で「正しく高く」パンを売る

その「地域通貨」の理念をパンで実現できないものか---と、挑むパン屋がいる。

パン屋タルマーリー」。

店主で職人の渡邉格(イタル)さんと、女将の麻里子さんの夫婦が、岡山県の山間の町・真庭市勝山で営む「田舎のパン屋」だ。

タルマーリーは、「つくればつくるほど、売れば売るほど、地域が豊かになるパン」を目指している。つまり、タルマーリーがつくるのは、ただのパンではなく、「地域通貨のようなパン」なのだ。

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