【厚生労働 その8】 解雇規制を撤廃し、雇用制度を自由化し、労働行政を簡素化せよ!

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今年8月に総務省統計局が発表した最新の労働力調査では、完全失業者数は271万人、完全失業率は4.1%だった。一方で、雇用者(5198万人)のうち、非正規の職員・従業員は1年前と比べ106万人増加して1881万人となり、非正規比率は36.2%と過去最大となっている。

バブルが崩壊した直後の1992年における非正規社員数は、958万人、正規雇用の社員は3705万人であった。つまり、この20年間で非正規社員は930万人増え、正規社員は500万人も減ったのだ。

これは、不景気にあえぐ企業が雇用の調整弁として、解雇しやすい非正規社員に流れたことが主な要因だろう。正規社員を守る厳しい労働規制のために、逆に正規社員になれる人を少なくしてしまった構造だ。

日本経済の成長を支えるには、成長産業への円滑な労働力の移動を可能にする労働規制が不可欠だ。日本経済の復活に向けて、政府は行き過ぎた雇用維持政策から転換し、労働市場を流動化・活性化させる労働規制へと舵を切るべきだ。

1. 解雇規制を撤廃せよ!

日本における解雇規制に関して、そもそも労働基準法ではほぼ解雇自由の原則であるものを、判例法を中心に「解雇権濫用法理」が構築されていき、2008年に成立した労働契約法第16条で「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」と定められるに至っている。

この厳しい解雇規制のために、企業は業績が悪化し、「整理解雇の4要件」(①人員整理の必要性、②解雇回避努力義務の履行、③対象者の人選の合理性、④手続きの妥当性)を満たさなければ解雇できない。このため、正社員の雇用を控え、非正規雇用を増やさざるを得なくなっているのだ。

すなわち、現状の解雇規制は、厳し過ぎる規制のために本来増やそうとしている正規雇用を減らしているのだ。さらには、日本の企業の99%を占める中小企業で働く労働者には、そもそもこういった規制の恩恵は届いておらず、むしろ、中小企業の社員は十分な金銭補償すらなく自由に解雇されてしまうこともまた問題である。

したがって、労働契約法に企業の解雇権を明記し、正社員でも金銭補償によって解雇できる制度とすべきだ。法律で解雇権を明記し、金銭補償の義務を、ドイツの12-18ヵ月やイタリアの15-27ヵ月といった諸外国の例も参考に明記する。そうすれば、中小企業で働く人にとってはむしろ、解雇される場合に法律上の金銭補償の義務が企業に課されるという規制強化の恩恵を受けることができるし、大企業にとっては非正規の派遣社員等を雇用の調整弁として利用する必要がなくなり、正社員の雇用を増やすことができるわけだ。

もちろん、いつでも気楽に解雇ができるというわけではなく、正当な理由は必要であろう。しかし、本来企業は、利益が出ている時にこそ攻めの業態変換やリストラが必要である。金銭補償による解雇が認められれば、攻めのリストラが可能となり、経営上の自由度が高くなる。

企業の解雇権を認め、金銭補償による解雇を可能にすることは、正規・非正規の格差問題、大企業・中小企業の格差問題を解消するための第一歩である。

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