アメリカで躍進中のビジネスニュースサイト『クオーツ(QUARTZ)』 その編集方針と経営戦略を聞いた
茂木 崇
『クオーツ』のトップページ

ビジネスニュースサイト『クオーツ(QUARTZ)』が躍進を続けている。2012年9月の発足からわずか10ヵ月の今年7月には、ユニークユーザー数が500万人を突破した。

『クオーツ』はデジタル戦略が好調なアトランティック・メディアカンパニーが創設したサイトである。その独自のデジタル・ネイティブな編集方針と経営戦略について、ケヴィン・ディレイニー編集長とジェイ・ローフ発行人に、ニューヨークのソーホーにあるオフィスでインタビューした。

既存の常識にとらわれず、「レスポンシブ・デザイン」を採用

グローバル・エコノミーの地殻変動を伝えること---これが『クオーツ』のミッションである。

ディレイニーによると、鉱石の「石英」を意味する「クオーツ」をサイトの名前に選んだのは、地震のような地殻変動が起きている場所に石英が多く存在するからだという。

一見してすぐにビジネスニュースのサイトだと分かる名称にしなかったのは、「クオーツ」が簡潔なことばであることと、サイトだけでなくイベントなど多彩な事業を展開しグローバルなブランドとして認知されるようにしていきたいからだそうだ。

『クオーツ』のデザインはシンプルだ。

PC版とタブレット版は二段で、左の段に記事の見出しが並ぶ。見出しの並び方は、ロゴ下にある「+(プラス)」をクリックするとFiltersが現れて、トップニュース、最新記事、人気記事などに変えることができる。その横には、見出しの順番通りに記事が掲載される。モバイル版は一段になり、記事の見出し一覧か記事が画面に現れる。

また、見出しの下には大きめのサイズの写真を掲載し、ビジュアル面のインパクトも追求している。今後はビデオ動画を増やしていきたいという。

では、なぜこのようなデザインを選択したのだろうか。

『クオーツ』のチームは、既存の常識にとらわれることなく一からデザインを考え直した。これまでのニュースサイトは、まずPC版を構築し、ついでモバイル、タブレットに進むメディアが多かった。だが、『クオーツ』はニュース摂取のトレンドが変化していることを鑑みて、まずタブレット版をデザインし、それをモバイル版、PC版に応用していった。一つのデザインを様々なデバイスに適応させる「レスポンシブ・デザイン」の考え方である。

ディレイニーは、既存のニュースサイトのデザインは複雑になりすぎていたと語る。特に、バナー広告や記事のアクセスランキングが並ぶ右の段は、「この段は無視しろ!」と言っているようなもので、読者の役には立っていない。そこで、敢えて右の段は設けなかったという。

さらに、効率よく情報を収集できるようにするため、トップページに記事が現れるようにした。これにより、見出しをクリックすることなくトップ記事を読むことができる。さらに、記事を読み終わると次の記事が画面に現れる仕組みにしている。

また、毎朝、主要なビジネスニュースを概観できる「デイリー・ブリーフ」を登録者にメールで無料配信している。

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