アメリカで躍進中のビジネスニュースサイト『クオーツ(QUARTZ)』 その編集方針と経営戦略を聞いた

2013年11月05日(火) 茂木 崇
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文字数についての「クオーツ・カーブ」

『クオーツ』は「オブセッション」という方式を取っている。常時、重要トピックを1ダースほど設定し、集中的に詳しく伝えている。これは雑誌スタイルとも言える。そしてまた、「クオーツ・カーブ」という編集哲学に基づき、記事を送り出している。

アメリカの新聞の平均的な記事の長さは、紙面の上から下までの一段の記事で、語数にして700語台である(日本語に訳すと2千数百字になる)。だが、『クオーツ』は、500語よりも短い記事と、800語よりも長い記事に特化している。

この哲学に行き着いたのは、トラフィックを分析したところ、デジタルでよく読まれるのは短い記事か長い記事のどちらかだという分析結果を得たからでもあり、700語台の記事は無駄が多いと考えるからでもある。

ディレイニーは、誰に対しても公平であろうとするあまり、多くの報道機関は分かりきった談話を引用し、記事が無駄に長くなっている傾向があると語る。

例えば、「明日、太陽は昇るだろう」という専門家の談話を引用し、その数段落後で今度は「明日、太陽は昇らない可能性がある」という別の専門家の談話を引用するといった具合である。これは非効率で、はじめから「我々は明日、太陽が昇ると予期している」とだけ記せばすむことである。

そこで、『クオーツ』では、記者は1日に500語以下の短い記事を2つと、800語以上の長い記事を1つ出稿することを目標に掲げている。オブセッション方式で記者が強い関心を持って取材に取り組んでいれば、インサイトを盛り込んだ短い記事を送り出すのは難しいことではない。加えて長文の分析記事も執筆する。

「クオーツ・カーブ」は記事の長さだけでなく、時間についても当てはまる。ニュースが起きたらまず短い記事をすぐに掲載し、少し時間が経過した後で長い記事を掲載する。

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