「講座: ビジネスに役立つ世界経済」
【第23回】 二極分化しつつある欧州経済?

〔PHOTO〕gettyimages

欧州経済の回復をけん引したエコカー補助金

最近、市場では、欧州景気の底打ち、回復がコンセンサスになりつつある。欧州経済の現状について、筆者は、第16回 欧州経済は本当に底打ちしつつあるのか」で、その先行きに慎重な見方を示した。その後、約2ヵ月弱が経過しつつある現時点においても、その考えは基本的には変わらない。

だが、やや細かくみると、ユーロ圏と非ユーロ圏とで若干の違いが出てきているように思える。ユーロ圏は、市場のコンセンサスとは異なり、やはり景気底打ち、回復は今なお怪しく、市場は先走りすぎていると考えるが、非ユーロ圏については、「ある条件」が成立し続ければ、回復が続くかもしれないと考えている。

そこで、その「ある条件」とは何か、という点を考える前に、直近(といっても4-6月期だが)の実質GDP成長率で欧州経済の現状をみてみよう。

まず、ユーロ圏だが、4-6月期の実質GDP成長率は、前期比年率で+1.1%となった。「年率+1.1%」という成長率は一般的には決して高い成長率とはいえないが、ユーロ圏の実質GDP成長率がプラスであったのは、2011年7-9月期以来である。

主にドイツ(同+2.9%)、フランス(同+2.1%)といった中心国がけん引したが、スペインなどの南欧周辺国(いうまでもないが債務危機の原因となった)の成長率も改善している。非ユーロ国でも、例えば、ポーランドは同+1.6%、ノルウェーは+3.4%となっている。

回復をけん引した項目は様々だが、代表的なものは、個人消費と輸出であり、個人消費は自動車購入であった。欧州では多くの国が、エコカー補助金の支給を行っており、これをきっかけに新車登録台数が急増している(新車購入は耐久財消費となる)。最近では、スペインの新車登録台数が補助金支給により急激に増加しており、これがスペイン経済の悪化に歯止めをかけつつあるようだ。

エコカー補助金は欧州諸国だけではなく、新興国でも行われている。これは、確かに耐久財(乗用車)消費を促進させ、消費拡大による景気回復を促すが、その効果は長続きしない。最近では、タイ等で補助金打ち切りによる反動減が景気の足を引っ張るケースが出てきている。エコカー補助金支給による消費下支えを続けている間に他の部門の経済活動を活性化させる必要があるが、それはなかなか難しい政策である。

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