アベノミクスがその気にさせた!?上海特区は「本気度」と「大胆さ」が日本と違う
[Photo]Getty Images

 安倍晋三首相が経済政策「アベノミクス」を推進するうえで突破口と位置づけている国家戦略特区。規制を管轄する省庁や業界団体の水面下での抵抗は激しく、アベノミクスを支持する人たちですら、特区がどれぐらい成果を上げるか確信を持てずにいる。

ところが、もしかしたら安倍首相が本気で特区を成功させるのではないか、と"危機感"を持っている国がある。お隣の中国だ。

 中国・上海市は9月末、金融や貿易などの分野で大幅に規制を緩和する特区「上海自由貿易試験区(FTZ)」を設置した。李克強首相が旗を振る経済政策「リコノミクス」版の国家戦略特区である。

 日本の特区と大きく違うのは「本気度」と「大胆さ」だ。人民元での資本取引の緩和や金利の自由化、外資銀行の設立容認といった内容が盛り込まれているというから、これまでの中国の国家経済体制に風穴を空ける可能性すらある。

上海が香港に代わり金融センターに?

しかも、あらかじめ示した規制や禁止項目以外は原則自由とするネガティブリスト方式を採用していくという。「香港にとって代わり上海を金融センターにする気ではないか」(日本の大手証券会社幹部)という声も聞かれ始めた。

 この上海特区。9月のスタートまで、日本ではほとんど報道されてこなかった。
 9月下旬に行われた上海対外経済貿易大学・日本経済研究センター設立5周年記念シンポ
ジウムに参加した日本のエコノミストたちは、中国側の「本気度」に驚かされたという。
 参加した双日総合研究所主任エコノミストの吉崎達彦氏がブログに詳細を書いているが、吉崎氏は「3年間にわたって実施し、うまく行けば全国に展開するし、ダメだった場合は元に戻す。

 まことに中国らしいダイナミックな実験というべきで、これに比べると、日本における経済特区の議論が何とも生ぬるいものに思われてしまう」と書いている。

 同じく参加者のひとりである滝田洋一・日本経済新聞編集委員も『上海自由貿易の実験に潜む中国の深慮』という記事を書き、「中国経済は軟着陸できるか、といった議論をしているうちに、当の中国はダイナミックに動いている」と驚いてみせた。

 吉崎氏によるとシンポジウムでは、アベノミクスに対する中国側の関心の高さが興味深かったという。
 吉崎氏はブログにこう書いている。

「中国側が『日本の変化』を意識していることも窺えた。新政権の経済政策は効果を上げているようだし、TPP交渉にも参加を決断したし、2020年の東京五輪も決まった。この変化がどこまで続くかは未知数だが、とりあえず日本はノーマークの存在ではなくなった。このことは、過去5年間との大きな違いと言えるだろう」

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