プロ野球特別読み物 人を育てる組織 広島カープのような手作りチームに幸あれ!

マエケン、菊池、丸、梵……今年活躍したカープの生え抜きを挙げればキリがない。カネはなくても人は育つ。生え抜きが育てばファンにも愛される。今年の広島には組織としての一つの答えがあった。

マエケンも育った

広島カープの大ファンとして知られる、アナウンサーの山中秀樹氏は言う。

「クライマックス・シリーズでの、カープファンの熱には感動しました。あれだけの人数が甲子園、東京ドームに足を運ぶなんてことは、カープ以外ではあり得ない。昨年まで15年連続Bクラスだった球団ですからね。他のチームならとっくにファンが離れてしまってもおかしくない。しかしカープに限ってそれはありえないんですね。カネがなくても手作りで戦ってきたチームへの愛着が、他のどのファンよりも強い」

バレンティンの本塁打記録やマー君の無敗の24連勝など、記録ずくめだった今年のプロ野球。しかし今シーズン、彼ら以上にプロ野球を盛り上げたのが、広島カープだった。

これまで長きにわたり「貧乏球団」と揶揄され、下位に低迷してきた広島。その広島は、どうやって今シーズン躍進を遂げたのか。その理由の一つに、生え抜き選手たちの活躍がある。

「その最たる例は何と言ってもエース・前田健太だ」とある球団関係者は語る。

「去年惜しくも4位に終わり、悲願のCSを逃したことを前田は誰よりも悔しがっていた。だから今年にかける想いは相当強かったんです。しかも、同期でライバルだと思っている田中将大が今季あれだけの活躍をしましたからね。前田は『マエケン』じゃなく『マケヘン』のほうが合っているとコーチにからかわれるくらいの負けず嫌い。シーズンの途中からすでに、『日本シリーズでオレが土をつけてやる』と意気込んでいました。実際後半戦の投球は圧巻で、エースとしてだけでなく、チームリーダーとしての自覚が見えました」

球団史上初のCS進出の立て役者として、名実共に「カープの顔」になったマエケン。広島は入団当初から、将来の主力と見越して手塩にかけて育ててきた。

1年目のマエケンを育成した二軍監督の山崎隆造氏が言う。

「投球だけでなくフィールディング、牽制も含め、マエケンはすべてにおいて長けていました。間違いなくチームの主力になると、1年目から感じましたね。球団もそれをわかっていたようで、『エースとしての英才教育をしろ』と私へ指示が来た。そこで私はマエケンをファームのローテーションに入れて、実戦経験を積ませた。センス抜群とはいえ体が細すぎて、不安な面もあったんですが、どんどん進化していきましたね」