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2013年11月04日(月)

ハード・ノンフィクションの巨匠、溝口敦著 『溶けていく暴力団』
第三章「飛んでる半グレ集団」全文公開!

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関東連合の実像

著者の溝口敦(みぞぐち・あつし)氏

東京・六本木を舞台に多くの暴力事件を引き起こした元暴走族出身の関東連合は「半グレ集団」の存在を世に知らしめたが、六本木のクラブ「フラワー」での人違い殺人(二〇一二年九月発生)がたたり、現在、解体へと向かっている。

関東連合は暴力が突出したグループと、経済活動を得手(えて)とするグループ、暴力団に入り組員となったグループと、おおよそ三分されるが、少なくともこのうち暴力派は自ら仕掛けた「フラワー事件」で再起不能なまでに打撃を受けた。

経済派はまだ健在だが、今後は関東連合の一員という帰属意識を失い、徐々に細分化していくと見られる。

三つ目に挙げた暴力団加入派では、住吉会系幸平一家堺組に属した田丸大氏が代表的な存在である。田丸氏は関東連合で非常に人望があったようだが、暴力団に入れば暴力団の決まり事に時間も体も縛られる。将来的には今以上に暴力団に吸収されていくと見られる。

事実、田丸大氏は一三年五月、新宿区西早稲田のマンションに拳銃を発射し、拳銃と銃弾を持って戸塚署に出頭した。田丸氏以外にも暴力団の組員になったり、組員にならないまでも暴力団の庇護を受けた関東連合のメンバーはいる。古くは二率会(〇一年解散)、住吉会系の向後睦会、同小林会、山口組系倉本組などに縁を持つ者がいた。

組に入った関東連合のメンバーは組を続けるにしろ、やめるにしろ、また服役するにしろ、組員もしくは元組員としてこれからの人生をたどるわけで、関東連合とは縁が薄れる一方と見られる。

半グレとは何か

関東連合は暴力で名を売ったが、その新しさはむしろ経済活動にあるから、三分化は半グレ集団の本質にはなんら関わりがないともいえる。しかし暴力に裏打ちされた「スター性」が経済活動を助けた一面があり、今後はハデな暴力活動を期待できないことから、彼らの経済活動はより地味に、より潜行性を加えていこう。マフィア経済を担う団体として純化していくはずである。

ここでいうマフィア経済は秘密性、匿名性、儲け第一、仲間うちだけの利益、被害者を顧慮しない非情、同業者との交流なし――などを特徴とする。半グレ集団の主流は犯罪組織であり、今後は最も半グレ集団らしい組織へと脱皮するといえるかもしれない。

ちなみに「半グレ」という言葉は半ば社会に定着してきたが、これは筆者の仮の命名が元になっている。というのは筆者は一一年四月に『ヤクザ崩壊 侵食される六代目山口組』(講談社+α文庫)を出し、その中でこう書いたからだ。

〈暴力団の陰で新興の組織犯罪集団が勃興(ぼっこう)している。彼らに対する公的な呼称はまだなく、本書では「半グレ集団」と呼ぶことにする。「半グレ」とは彼らが堅気(かたぎ)とヤクザとの中間的な存在であること、また「グレ」はぐれている、愚連隊のグレであり、黒でも白でもない中間的な灰色のグレーでもあり、グレーゾーンのグレーでもある〉

 

この後に半グレ集団の特徴を四つほど挙げた。簡単に記せば、

(1)彼らは暴力団に籍を置いていない。そのために暴力団対策法や暴力団排除条例の対象外。
(2)匿名性と隠密性。暴力団は人に知られてナンボの世界だが、その逆。
(4)暴力団の構成員に比べて半グレ集団のメンバーは二〇~四〇代までと若い。そのためにネットやIT技術、金融知識などを身につけ、自在に使いこなす。
(4)新規の志望者は暴力団で半減、半グレ集団で増大。

とりあえず右のような特徴を数え上げたのだが、これに照らして今の関東連合を見ると、関東連合は半グレ集団の中でかなり異質である。今までが有名すぎたのだ。

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