"偽悪者"のタモリだからこそできた『いいとも!』の偉業
フジテレビ「笑っていいとも!」公式HPより

フジの深謀遠慮が見え隠れした番組終了発表

笑っていいとも!』(フジテレビ)の終了発表は鮮やかだった。32年間続いた大番組にふさわしいものだった。

10月22日の放送で、出演予定日ではないのにも関わらず、笑福亭鶴瓶が登場。タモリに向かって「噂で聞いたんやけど、終わるってホンマ?」と質問すると、タモリは恬淡と「来年の3月で終わります」と返答。この人らしいスマートな宣言だった。

終了は番組の大功労者であるタモリ自身に発表させるべきだったし、露払い役も大物の鶴瓶なら役不足ではなかった。これにより、スポーツ新聞の芸能面のみならず、一般紙の社会面までが横並びで「いいとも終了」と大きく報じた。FAXでマスコミ各社に伝えるのでは味気ないし、記者会見は仰々しく、どちらもタモリのカラーに合わなかっただろう。ベストのやり方だったように思う。

もしも新聞辞令だったら、随分と状況は変わっていただろう。終了をどこかのマスコミが嗅ぎ付けたり、あるいはフジのリークによって、一紙単独で報じていたら、タモリは感情を表に出すような人ではないだろうが、おそらく愉快ではなかったはずだ。終了はタモリ自身が、イの一番で視聴者に発表すべきだった。大功労者に対するフジの深謀遠慮が見え隠れした。

サラリーマン社会に例えてみれば分かる。長年、会社の基幹部署で働き、貢献してきた人物が、自分の勇退を周囲の声で知るのはマズイ。万一、周囲から「辞めるという話は本当ですか?」と問われることで知ったら、業腹だろう。経済紙や業界紙で自分の人事を知らされるのは余計に面白くないはずだ。しかるべき上席者から進退を打診され、その結論は自分から周囲に伝えるのが理想型だ。

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