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みずほ激震「ヤクザと銀行」元暴力団担当行員の告白
西堀利氏(60)は、頭取の座にあった'10年7月、今回問題となった中古車ローンの審査強化を検討したという。だが、みずほはその後3年以上にわたってこの問題を放置。10月11日、自宅前で直撃したが、本誌記者の取材に応じようとしなかった〔PHOTO〕蓮尾真司

取材・文|森功(ノンフィクションライター)

「あれは銀行の無担保融資といっしょ。本来は車が担保になるはずやけど、中古車だから価値はわからへんし、たぶん車自体二束三文でしょう。相手は計算した上で、自動車ローンという形の借金をしとる。オリコ(オリエントコーポレーション)の融資保証がついとるから、銀行の腹は痛まん、いう説明もあるけど、そうやない。みずほは、ローンが焦げ付いて信販会社のオリコが傾いたら、その損失を穴埋めせなアカン。いわばみずほグループが一体となった無担保融資ですわ」

みずほ銀行による暴力団取引について、元三菱東京UFJ銀行支店長の岡野義市は、開口一番こう話した。岡野は大阪市内の旧三和銀行淡路支店時代、元山口組系組員で部落解放同盟飛鳥支部長だった小西邦彦との取引を担当。小西は'06年に大阪市の公金横領・詐欺に問われた飛鳥会事件を引き起こす一方、山口組関係者への迂回融資の窓口でもあった。小西を通じた取引の結果、三菱東京UFJ銀行は80億円の焦げ付きを抱える。

岡野は銀行側の〝汚れ役〟として、小西との取引を担当し、トラブル処理に奔走してきた。それだけに暴力団と銀行との関係を熟知している。

シノギに使われた中古車ローン

みずほ銀行による暴力団関係者への融資は、少なくとも'10年7月にグループ役員会の議題に上り、その後の調査で同年12月には取引の実態が明らかになっている。みずほが3年以上放置してきたそのローン契約は、実に230件、総額2億円にのぼる。

「派閥争いもあり、みずほはまだ『One MIZUHO』になれていない」と組織の問題点を指摘する岡野氏〔PHOTO〕朝井豊

今回の自動車ローンでは、オリコが銀行融資の保証をしている。そこで、みずほ銀行は、オリコの融資審査で自動車の購入者がその筋の人間だと見落としてしまった、と言い訳をしてきた。そこについて岡野はこう一蹴する。

「信販会社の審査対象は、融資先の人物です。過去に返済が滞ってブラックリストに載っていなければ、書類上、収入があるように整っていたらOK。審査の中で勤め先に電話をかけることもあるけど、ヤクザの息のかかった会社に雇ってもらっているかのように頼んどいたら、それでクリアーできます。銀行本体の審査はもっと厳しいけど、ノンバンクや信販会社の審査なんかそんなもんです。しかし、焦げ付きが発生すれば、グループとして損失を被るのは同じことです」

問題は、なぜ融資を放置し続けたのか、本当に焦げ付きはないのか、だ。不可解な銀行と暴力団との取引について、かつての銀行の〝汚れ役〟岡野義市が、そのカラクリを読み解いた。

「今度の取引でみずほは、返済は滞っていない、不良債権じゃない、と言い張っています。けど、それは甚だ疑わしい。仮に現在はローンが焦げ付いてなくても、おそらく自転車操業でしょう。最後には莫大な不良債権になってくる。それがヤクザとの取引です」

岡野が自動車ローンを使った融資取引のパターンについて解説する。

「ポイントは価格査定の難しい中古車ローンだという点。中古車の販売ディーラーとヤクザが組めば、簡単です。金利や手数料などを考えず、たとえば仕入れ値10万円のクラウンを組員が100万円で買い、その分のローンを組んだとする。すると、現金100万円が銀行からディーラーに振り込まれ、ディーラーは差し引き90万円の儲けになる。実はその儲けを仕分けするんが、ヤクザの元締めなのです。90万円の利益のうち30万~40万円を上納させ、残りを組員とディーラーで分けるという仕組み。まあ残り50万円として、ざっと組員が30万円、ディーラー20万円という感じでしょうか」

暴力団側は、自動車ローンを組んで融資を受けた時点ですでに目的の半分を達成しているのだという。警視庁情報によれば、実は今度の取引230件のうち、組関係者は3分の1程度の60人余りで、残りは半グレを含めた周辺者とされる。そこについて岡野が補足説明する。

「信販会社のブラックリストに載っていたらアウトだから、車の購入者が組員ばかりでは限界があります。で、友だちや知り合いに名義を借りるわけです。オレオレ詐欺と同じで、名義貸しは10万円くらい払えばいくらでもいる。だから230件の大半が組員やないんでしょ」

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