【厚生労働 その6】 医療制度の抜本改革を! ~医療への株式会社の参入を認め、ネットやITを活用して効率化・多様化を図れ!
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現在、日本全体で医療に使われる国民医療費は、41.8兆円である。厚労省の推計では医療費が2025年には54兆円にまで増加することは、以前指摘した通りだ。

この数字は、今の仕組みを維持したままでは日本の医療保険財政が破綻することを示している。だからこそ、100の行動35(厚生労働1)では、国民が医療サービスをなるべく使わなくても済むインセンティブを制度に組み入れるための「行動」を提言した。

現在の政府による医療制度改革の議論は、高齢化に伴う医療サービスの需要増大や医療費の増大を当たり前のものとして、「だから保険料を上げなければならない」、「だから消費税を上げなければならない」、「だから医療や介護の施設を増やさなければならない」といった方向の議論に留まってしまっているのではないか。そうではなく、「私たちが健康で安く長く生きるために医療制度をどう変えることができるか」という視点が重要だ。

1. 株式会社の参入を認め、混合診療も自由化せよ!

数年前まで、公立病院を中心に赤字経営に陥り、診療科の休止や病院の統廃合などで医療崩壊が叫ばれていた。これに対して、政府は病院医療への診療報酬のプラス改定で対応し、今では医療崩壊といったニュースを見ることはあまりなくなった。

しかし、病院の赤字経営や非効率な経営は、果たして診療報酬が低いからという理由だけによるものだったのだろうか。むしろ、放漫経営から来る問題が多いのではないだろうか。

医師は、医学や病気の治療に関してはプロだが、病院経営やマネジメント、組織論やITなどについては当然ながらほとんどの場合は素人だ。経営の素人である医師が専門外の病院経営をしていては、非効率な経営や赤字経営、病院での過酷な労働環境などを生み出してしまう。

しかしながら、今の医療法では、医療法人の理事長には医師がつかなければならないことになっている。病院経営も「経営」であり、そこは経営のプロが担う方が効率的だ。医療法人の理事長を医師に限定する規制は撤廃すべきだろう。

また、営利企業である株式会社が医療法人を経営することは禁止されているが、増資による資本拡充の自由度を増やしたり、合併による経営の規模化を図り、経営を安定させたりするには、株式会社の方が有利である。よって、株式会社の参入も認めるべきであろう。加えて、混合診療に関しても、完全自由化することで、患者のニーズに合った医療サービスを病院が提供できる様に制度を変えるべきであろう。

日本は諸外国に比べて人口当たり病床数が多い一方で、特別養護老人ホームなどの社会福祉法人の数は足りず、多くの入居希望者が待機させられている。今後の高齢化社会の進展で、医療と介護の境界はますます無くなっていくだろう。そのニーズに対応するためにも、医療法人に加えて社会福祉法人も規制緩和を行い、両者を一体的に経営できるよう制度を見直すべきであろう。

株式会社の参入を許し、病院、高齢者住宅、介護施設、在宅医療、訪問介護などの医療・介護サービスを一体となって経営できる制度にすれば、病院等の経営の安定化に資するはずだ。

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